歴史探偵

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第69回NHK紅白歌合戦(2018年) (ほぼ)全シーンレビュー

後半、尻上がりに面白かった。

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平成最後の紅白歌合戦。(ほぼ)全シーンの感想です。

 

オープニング

あんまり奇をてらわないMCで過去の紅白VTRへのフリから。

懐かしい映像は満載だけど、生放送が始まったドキドキ感(今、LIVEが始まった‼︎みたいな)はあまりない。去年は、擬似生とはいえ、渋谷の街を車で走るシーンがあった。今、思えばあれが効いていたのかもしれない。その映像には非常にLIVE感があった。

VTRの間に歌手全員ステージに板付いてラインナップというのは昨年と同じスタイル。歌手がズラズラ出てくる退屈な時間を避けられる意味ではいいと思う。

 

前半

1 .三代目 J Soul Brothers「R.Y.U.S.E.I.」

普通にダンスと歌を見れたという感じ。 

2 .坂本冬美「夜桜お七」

世界一のダンスチームとのコラボと言うが、もっとそのダンスチームのことをテロップなどで説明して欲しい。歌の最後まで、どうすごいのかよく分からないからムズムズした。 

3 .郷ひろみ「GOLDFINGER’99~GO!GO!2018~」

今年の話題を、良い意味で、ごちゃっと全部ブチ込む感じ、超楽しい面白い。ホールロビーをフルに使うのは、なるほど!と。 キャストを贅沢に使っていたが、それが功を奏していた。

4 .Little Glee Monster「世界はあなたに笑いかけている」

大人数の若者を従えて歌う。NHK番組「SONGS」 のワンシーンっぽい。

5 .山内惠介「さらせ冬の嵐~刀剣男士コラボスペシャル~」

山内さんの後ろに刀剣男子。歌を聴くべきか、パフォーマンスを見るべきか中途半端だった気が。

6 .DAOKO「打上花火」

米津さんプロデュースの曲歌ってる人なのか。知らなかった。背景のセットと画面上のCGが一体化して、見たことのない不思議な映像。演出の美意識をすごく感じる。 いい。

夢のキッズショー

面白さが分からない。子どもと一緒に見ていないからなのか…。でも子どもがいたとしても「NHKなんで」という大人のセリフはよく分からないと思う。ん〜何がやりたいがよくわからない。シーン全体として壮大なボケをかましてるんだから、ツッコミ役もいると思うが、内村さんも演じる側に回っているからツッコミ不在になってしまっている。

7 .Hey! Say! JUMP「Ultra Music Power~Hey! Say! 紅白スペシャルver.~」

大学男子チア日本一とコラボ。分かりやすいアクロバットで、思わず「すごい!」と言ってしまった。

8 .丘みどり「鳰の湖」

一人で歌う演歌歌手の後ろで、元新体操選手のダンス。これ、よくあるパターンの演出なんだけど、ハマってる例を見たことがない。歌を聴けばいいのか、ダンスを見ればいいのか、分からない。

9 .天童よしみ「ソーラン祭り節2018~どさんこver.~」

カーリング女子、筋肉体操、武田真治のsaxとごった煮シーン。賑やかで紅白らしいけど、カーリング女子の人たちをもうちょっとフィーチャーしてもいいのでは、と思ってしまった。 

10. Suchmos「VOLT-AGE」

Suchmosの曲ってW杯を思い起こさせてくれる音楽じゃない。思い出すといえば、日本代表の休憩タイムに無理やりにLIVEが入ってきて、ドン引きしたことくらい(本人達の責任ではないけど)。だから後ろにW杯の映像を背負っても、グッと来ない。曲前の長谷部さんも無理やりSuchmos持ち上げてる気がして痛い。 

11 .純烈「プロポーズ」

銭湯から出てきた人たちだけに、銭湯セットにして、ファンの女性を背負うステージ。演出の方向性は分かりやすい。 

12 .あいみょん「マリーゴールド」

マリーゴールドっていい曲。(ようやく)歌をじっくり聴けるシーン。もっと聴いてたかった。 

13 .水森かおり「水に咲く花・支笏湖へ~イリュージョンスペシャル~」

突然出現してビックリ!瞬間移動もビックリ。これは分かりやすいし、イリュージョンすごい。やはりテレビで分かりやすさは重要だな、と改めて。 

14 .Sexy Zone「カラクリだらけのテンダネス~2018紅白ver.~」

トリッキーな演出はすごいんやろうけど、どこがすごいのか、イマイチ伝わってこなかった…。

15 .刀剣男士「刀剣乱舞~出陣!紅白歌合戦~」

へえ〜こんなグループもあるんだ…という感じ(スイマセン、詳しくなくて)。

16 .Aqours「君のこころは輝いてるかい?」

アニメの背景画像に、声優さんユニットの歌。真っ直ぐな演出。 

17 .YOSHIKI feat. HYDE「Red Swan」

アニメの背景画像に、豪華な2人の共演。真っ直ぐな演出。

18 .YOSHIKI feat. サラ・ブライトマン「Miracle」

崇高な歌というのは分かるけど、いかんせん、前情報がなさすぎて、あまり歌に感じ入ることができなかった。 

おげんさんといっしょ

星野源さんとその仲間による「SUN」とても楽しい。気安いメンバーでやってるからか。ワンカメラのこのシーン見てると、シーンをしっかりく作れば、カメラのカット割りとかあまり関係ないのか、という気がしてくる(もちろん、ホールとスタジオは一緒にならないけど)。

19 .島津亜矢「時代」

平成を振り返る映像に人生を振り返る名曲中の名曲。島津亜矢さんが力強く歌い上げ、名シーンになっていた。

20 .五木ひろし「VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~」

DA BUMPのU.S.A.の振り付けが印象に残った。最近、五木さんは大量の若い出演者を後ろに背負うことが本当に多い。
 

後半

1 .DA PUMP「U.S.A.」

DA PUMP、前半最後に五木さんのシーンで出てたのに、後半トップで出てきて頑張ってる。背景のセットも気合入ってた。

2 .いきものがかり「じょいふる」

吉岡さんの客席へのアオリのMCがとても良かった。客席一体となって、すごく楽しいシーンになっていた。後ろの高校生たちもとても爽やか。ただ彼らの母校の生徒たちなら、紹介あっても良かった気が 。

3 .AKB48「恋するフォーチュンクッキー」

AKB48とタイのBNK48とのコラボ。国際色あるステージはユニークで良かったけど、内村さんは必要だったろうか。焦点がボケた気が。

4 .福山雅治「2018スペシャルメドレー」

「甲子園」。甲子園球場の映像を使うならば、時折、画面撮り切りにした方が良かったと思う。イマイチ感情移入できない。 

5 .King & Prince「シンデレラガール」

シンプルに歌とダンスを見せてくれた。 

6 .Perfume「Future Pop 紅白SP」

エレクトロ・ワールドの映像がすごかった。スタイリッシュという言葉ははるかに超えて、現代美術みたい。

7 .関ジャニ∞「ここに」

前MCのチコちゃん、無駄に長い(チコちゃんのシーンはどこもそうだったが)。また関ジャニ∞の歌の背景がなぜ万博なの?歌の内容と全然合ってない。視聴者をどんな気持ちにさせたいのか、分からない。そして後受けでも、またチコちゃん…。ウソでしょ、まだやるの?って感じ。情報をアナがパターンで紹介するとか、非常に残念…。そもそもアナが紹介しようとするその情報、そんなに知りたくないって。

8 .欅坂46「ガラスを割れ!」

すごくモノトーンを基調としたステージで、非常に引き締まってていい。欅坂ってカッコいいんだ、と感じる。  

9 .三山ひろし「いごっそ魂~けん玉世界記録への道、再び~」

昨年に続き、けん玉の演出。これはこれで、筋が通ってていい。 

10. 西野カナ「トリセツ」

名曲。曲のイメージに合った”お姫様感”あるセットに、後半だけ登場するダンサー。曲の世界観が具現化されている。ダンスの演出もキマッていた。

11 .SEKAI NO OWARI「サザンカ」

 小平奈緒さんの登場、五輪の映像もしっかりと。やりたいことが明確で良かった。

12 .乃木坂46「帰り道は遠回りしたくなる」

乙女チックなシーン。バナナマンとの関係性は自分が不勉強なせいであまりよくわからなかった。 

13 .北島兄弟 北島三郎「ブラザー」 「まつり」

大型セットに乗って出てくるサブちゃん、安定の紅白らしさ。サザンの桑田さんが、団扇振ってるのが、ありがたかった。 曲前のサブちゃんインタも意義深かったと思う。

14 .TWICE「紅白メドレー2018」

衣装と背景のCGがよく調和していた。 

15 .EXILE「EXILE紅白スペシャル2018」

普通にダンスと歌を見れたという感じ。 

16 .Superfly「Gifts」

島津亜矢さんと並んで、歌の力をマジマジと感じさせてくれたシーンだった。 

17 .三浦大知「Be Myself~紅白スペシャル~」

圧巻のダンスパフォーマンス。昨年に続き、三浦さんなりの勝ちパターンがある気がする。

18 .aiko「カブトムシ」

このド名曲が聴ける幸福。 セットが森の中のコテージ的みたいな感じ。独創的なイメージで素晴らしい。CGと前景のリアルなブツとの連続性も良かった。

19 .松田聖子「SEIKO DREAM MEDLEY 2018」

有名曲がメドレーで聴ける幸せ。 

20 .氷川きよし「勝負の花道~世界に響く和太鼓SP~」

DRUM TAOとの共演。見応えがある。氷川さんの曲はリズミカルなものが多く、情緒を伝えるタイプの曲よりも、他のパフォーマンスと合わせやすい。

21 .椎名林檎と宮本浩次「獣ゆく細道」

時代がかった衣装の2人の周りにもコスプレした演奏者。曲の雰囲気を見事に視覚化したカッコいいシーン。しかも2人の映像を背景に大写ししてるところなどすごく新鮮。照明もクールにキマッてる。

22 .松任谷由実「私が好きなユーミンのうた~紅白スペシャル~」

ひこうき雲は事前収録VTRだろうか(LIVEの表記がなかったので)。ホールに本人登場したところで、ざわつく現場。ユーミンの大物感ハンパない。客席に歌唱を促したと思ったら、背景には大きな歌詞が映し出され、みんなで歌える。すごく良いシーン。 

23 .星野源「アイデア」

 一幕ものの舞台のようだった。本人が後ろに下がって、長いワンカメショー。下手袖に移動して生ギター。先の展開が読めなくて非常にスリリング。最後は木琴からドラまで飛び出した。本人のアイデアも入っていたのだろうか。さすがのパフォーマンスっぷり。

24 .米津玄師「Lemon」

長い廊下にギッシリ並べられたろうそく(全部で1万個使ったとか)。カメラがゆっくり前進する。その始まりにドキドキした。PVを彷彿させる女性のダンス。歌のシリアスな内容と、大塚国際美術館の大壁画の荘厳さが見事にマッチングしてる。ここを中継地に選んだ選択眼がすごい。後MCで米津さんにつっこむ内村さんも含め、このシーン、めちゃ良かった。 内村さんはいつも視聴者の気持ちを代弁してくれる。

25 .MISIA「アイノカタチ 2018」

MISIAの歌唱力を堪能できた。 

26 .ゆず「うたエール」

シンプルな照明。手書きの歌詞。歌前のVTR含め、ねらいがはっきりしていたシーン。

27 .石川さゆり「天城越え」

石川さんのシーンでよく見る、黒と赤の世界に、今年は布袋さんが加わってゴージャスなステージ。今年はこの曲をどう料理するんだろう、というのが楽しみになる歌手。

28 .嵐「嵐×紅白スペシャルメドレー」

本人たちが東北を旅した後からの歌唱。丁寧な背景画像に丁寧なカット割。後半のHappinessは紅白らしく、他の出演者に絡んでて楽しい。 

29 .サザンオールスターズ「希望の轍」「勝手にシンドバッド」 

最高すぎる。本人たちのLIVEを紅白で見られるとは…。しかもサブちゃんもいる。ユーミンもいる。ユーミン、腰振ってるし。やっぱ紅白ってすごい番組だ。このシーンほどそれを思ったことはなかった。何だかよく分からないけど、いいもの見せてくれてありがとう。

ただ、この後の「投票」は必要なのか、疑問に思ってしまった。もう「蛍の光」にいってしまっていいのでは、と。

 

最後に

超大物の共演を目の当たりにできたと言う意味で、特に終盤、非常に贅沢な時間を過ごすことができました。

思うのは、NHKはやっぱり”笑い”は苦手と言うことです。”笑い”を取りにいって、スベる・寒いということがほんと多い。この点は毎年同じです。毎年同じ失敗を繰り返している。内村さんがリラックスして他の共演者にツッコんでるシーンでは、ちゃんと笑いになっているけど。

ただ今年は紅白の価値を再認識できたので、来年も楽しみに見ます!

 

補足〜テロップの字体を変えてほしい〜

細かいことですが、紅白の歌詞その他のテロップの”字体”が気になります。どうしてあんな行政文書のようなゴシック体なんだろうか。日本一の音楽番組なのだから、その辺りまでも気を配ってほしい。

 

その他の識者によるレビュー

今年の、新しい元号の最初の紅白――昔のように夜9時スタートに戻していいんじゃないですかね。正直、平成最後の紅白も、2部だけで十分だったとも。1部は全体的に盛り上がりに欠けたし、企画コーナーはEテレの番宣臭が強く、チコちゃんを始めとする賑やかしの演出もかなり部分で滑っていた(出演者の問題というより、演出の問題ですね)。

ー草場滋(メディアプランナー)

企画コーナー、ほんと滑ってるんですよね〜。誰か「その演出、滑ってるよね、やめない?」と言えればいいんですが、これが難しい。なぜなら演出家として優れている人が紅白を統括しているわけではないから。統括している人は行政的に優れた人=組織運営が巧みな人。なのでどちらかというと役所に近いと思う。

柴:出ないんじゃないかと思われていた紅白でも、米津玄師は徳島の大塚国際美術館で素晴らしいパフォーマンスを披露しましたね。

宇野:紅白って、良くも悪くも渋谷のNHKホールのステージという縛りの中でおこなわれてきたイベントじゃない? でも、近年は中継での出演という方法によって、ステージ上で他の出演者と横並びになることを回避する出演者が増えている。

そこにはアーティストのパワーや交渉力を見せつけられるような感じもあって、ちょっとムズムズするところがあったんだけど、あのくらい圧倒的なものを中継で見せてくれたら文句のつけようがないよね。

ー宇野維正(音楽ジャーナリスト)、柴那典(音楽ジャーナリスト)

やはり米津さんのシーンの完成度は際立っていたということですね。あのシーンの美術を手がけたデザイナーさんは、紅白も何本も担当してきたNHKを代表するクリエイターの一人です。

 

 ※こちらは2017年の紅白OPの記事です。

www.rekishitantei.com