歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

ローカル線っていいもんだ〜錦川清流線の旅〜

乗って、行って帰るだけで楽しい。

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旅好きの飲み屋のマスター、イチオシの路線

広島の立ち飲み屋で、旅好きのマスターと知り合いになりました。

こちらがその時の記事。

www.rekishitantei.com

 

マスターは、中でも鉄道ローカル線が好きらしいんですが

この辺りで、どこかおススメの路線ありますか?

と聞くと

岩国から出ている「錦川清流線」がいいですよ

と、お答えいただきました。

久しぶりに完全オフの土曜日(8月31日)。“善は急げ”とばかりに行ってみることにしました。

ざっくりと位置を示してみると、こんな感じ。

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山口県の岩国駅から、内陸に向けて伸びている路線です。教わるまで、その存在すら知りませんでした。
 

土曜日の山陽本線は混んでいる

住んでいる広島から、岩国までは山陽本線を使います。

その山陽本線、土曜日の13時台でしたが、この混みっぷり。

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さすが西日本の鉄道の大動脈。日曜昼の山手線と同じくらい混んでる気がしました。

でも、広島から西に向かって、宮島口を越えた辺りからは、座ることができました。広島に宮島目的でやってくる人は、やはり多いのです。

 

本線→ローカル線。岩国駅で乗り換え

岩国駅に到着。錦川清流線に乗り換えます。

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車両は、一両。黄色いペイントのかわいいデザインです。

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座席に座ってみると、こんな案内が。列車には4種類のカラーがあるようです。

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全部乗ってやろう、という鉄オタの人がいそうですね。

岩国発14時15分の列車でしたが、座席の8割は埋まっていました。外国人もちょこちょこと。最近のインバウンドの波は、こんなローカル線にまで押し寄せています。

 

列車が出発。程なくして、中国山地の山々が視界に入ってきます。

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今からここに、分け入るんだ…という気持ちが高まります。

 

進行方向に向かって右側に座るのがおススメ

レールの間は草むしてて(こんなに草生えてていいのか?と思うくらい)、いかにもひなびたローカル線という感じ。

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ただ座る席を間違ってしまいました。

「錦川清流線」というだけあって、錦川(にしきがわ)という山口県で一番大きな川に沿って列車は走るんですが、その川を眺められるのは、進行方向向かって右側なんです。

左側に座ってしまうとほぼ見えない…。その代わり、山肌を伝う滝なんかは見られますが。ただ、あまりすごい滝でもないので、やはり右側に陣取るのがよいと思います。最初に乗った時の感動を、一番良い席で眺めたいんですよね。

 

美しき清流と懐かしき里山

こちらは帰りに撮った写真です。

これが錦川。

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最近、西日本では秋雨前線の影響で雨が多かったため、いつもより水量が多いのではなかろうか。普段のことは分からないので、はっきりしたことは言えませんが。

ちなみに岩国の観光スポットで有名な錦帯橋も、この川の下流部分にかかっています。

これはおそらく沈下橋。

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洪水のときは、水が橋の上にまで達し、沈んでしまいます。逆にこうすることで、橋が水圧で流されてしまうことを防いでるんですね。

そしてこちらは、いかにも日本の原風景といった感じの、水田。美しいです。

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こういった景色は全て、岩国発の場合、進行方向向かって右側に座ったときに見えるものです。

 

終点は山にぐるりと囲まれた里

岩国を出て、1時間9分。終点の錦町(にしきちょう)駅に着きました。

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周囲をぐるりと山で囲まれた、まさに山村といった風景。

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商店もありますが、お休みでした(もしくはもう営業されてないのかも)。

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眠ったように静かな土地でした。

 

美味しそうなカレーの店と資料館

駅の隣の建物には、なぜかカレーの看板。

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なんとなく美味しそうな予感がしましたが、残念ながら、この日は売り切れていたもよう。またチャンスがあったらトライしよう。

 

そして観光・鉄道資料館なる案内も。

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展示室に入ってみると、錦川清流線の歴史を伝える写真の数々が。

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ジオラマも。

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ただこのジオラマ。なんの様子を表現した作品がイマイチわからない。どうも錦川清流線の駅&路線ではないようなんですが…。

 

錦川清流線の歴史を知る

壁面の写真と説明書きを見ると、この路線のたどってきた歴史が分かります。

  • 昭和35年 国鉄岩日(がんにち)線 川西〜河山間 開業
  • 昭和38年 同 河山〜錦町 開業

昭和38年当時の写真がこちらです。

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元々山陰と山陽を結ぶ路線として敷かれたもの

岩日の岩は岩国のこと。そして日は島根県の日原(にちはら)という町のこと。もともとこの路線は、岩国から島根県までを結ぶ路線として計画されたものだったそうです。

そのあたりの事情は、こちらの新聞記事に詳しい。赤字覚悟の開通でした。

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ものすごくコストのかかる路線だった

ふつうの路線に比して、トンネル、鉄橋の多い難工事だったとも書かれています。新聞記事を引用します。

この線は、三十三㌔の間にトンネル二十四鉄橋百十四の難工事で工費はキロ当り一億円とふつうの二倍。その上利用度は少ないとみて当局では赤字覚悟の特別運賃として旅客一・五倍、貨物三倍の料金をとることにきめた。

確かに路線にはトンネル多かったです。それがまたこの路線に情趣をそえているんですが、確かに建設コストはかかりますね…。

コストがかかる割に、利用客は少ないということで、錦町以遠の工事は昭和55年に中止となりました。

最初から赤字覚悟の路線だったということで、住民の要望よりも政治的利権から建設された鉄道だったのかもしれません。

その後は

  • 昭和61年 岩日線 第3セクター鉄道化
  • 昭和62年 錦川鉄道設立、錦川清流線開業

という経緯をたどりました。

今は外国人まで訪れる観光路線になったということで、一応めでたしめでたし、というところでしょうか。ここにたどり着くまでの、関係者の方々の尽力がしのばれます。

 

最後に〜社員募集やってました〜

帰りの列車の中では、こんなお知らせが。

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社員募集していました。ローカル鉄道で働きたいと思っている人、チャンスかもしれません。

 

おまけ〜他県からのアクセスも良い〜

この錦川清流線。ひなびた路線でありながら、山陽新幹線と接続しています。

それがこの清流新岩国駅。

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後ろに見えているのが新岩国駅です。

この利便性の高さは、なかなかないんじゃないでしょうか。実際、帰りの列車からは、この駅で降りて帰途につく人、けっこういました。