タランティーノ作品を初めて観た者の率直な感想(一部ネタバレあり)。
- チャーミングなシーンがキラキラと光っている
- レオナルド・ディカプリオの“弱男ぶり”がよい
- ブラッド・ピットの“落ち着きぶり”がよい
- ガールズがめちゃくちゃきれい(特に足が)
- 「シャロン・テート殺人事件」については絶対に基礎知識を仕入れておくべき
- 余裕ある人は、60年代の時代の空気についても知っておくとベター
- 最後に~笑いあり、泣きあり、セクシーあり~
チャーミングなシーンがキラキラと光っている
とっても面白い映画でした。
これといって強烈なストーリーテリングがなされているわけではないのですが、個々のシーンがチャーミングで、ユーモアがあって、それらを一つ一つ味わっていくうちにいつの間にエンディングを迎えていた、という印象です。
そしてエンディングはめちゃめちゃスカッとします。そして笑える。後味、最高でした。
幾つかのポイントに分けてこの映画の魅力をまとめておきます。
レオナルド・ディカプリオの“弱男ぶり”がよい
今回、ディカプリオは、落ち目になった俳優(リック・ダルトン)という設定。そしてのっけから、弱音をはきまくりです。自分のスタントマンであり、身の回りの世話を焼いてくれるクリフ・ブース(出演:ブラッド・ピット)に相当、メンタルを頼っています。
でもその“弱男ぶり”がいいのです。
自分も40を越え、サラリーマンとして、ハリウッド俳優と比べればはるかに地味ながら、いろんな浮き沈みがありました。リックの弱音に、涙に、情けなさに、否応なく共感しまくりです。ついつい酒に逃げ、その酒で仕事でミスしてしまう(セリフを飛ばしてしまう)ところなども
そのリックも、後半、演技に真摯に取り組む8歳の幼き女優トルーディ(出演:ジュリア・バターズ。むちゃくちゃかわいく、賢い)との出会いなどで心を入れ替え、監督に絶賛される演技を披露。イタリアなどでも俳優として成功を収め、袋小路だったキャリアに光が差してきます。この辺りの展開はとてもさわやか。ある程度の年齢を経た方なら心からリックの“持ち直し”を祝福したくなると思います。
ブラッド・ピットの“落ち着きぶり”がよい
ブラッド・ピット(クリフ・ブース)は、長年、リック(レオナルド・ディカプリオ)の相棒を務めてきたスタントマン。
冒頭で、自分の落ち目を嘆くリックに、リックが肩を貸して泣かせてやるシーンがあるのですが、このワンシーンだけで、 リックにとって頼りがいのある男・クリフという二人の関係性が即座に理解されます。
クリフはいつも落ち着いています。ヒッチハイクしてくるヒッピー女子を車に乗せてやるも、いやらしいことを持ちかけられたら、スパッと断る。あんなカワイイ女子に言われたら、男だったら、心ぐらつくと思うんですが、そんな動揺は一切なし。男から見てもかなりカッコいいです。
このクリフの人物像について、当のブラッド・ピットが記者会見で語っていました。パンフレットから引用します。
クリフのキャラクターは、自分の居場所を受け入れて、心穏やかに生きている。何が起きても受け入れて、その時その時でなんとか対処していけるとわかっているんだ。だからぼくにとってこの映画は受け入れるということがテーマなんだ。自分の立場や人生を受け入れ、周りの環境、壁や悩みを受け入れること。
全てを受け入れ、なんとか対処していくこと。
その潔さ、カッコよさは、これまた、ある程度の年かさを重ねた大人には、うなずけることなのではないでしょうか。そう思うとこの映画は中年以上向きなのかもしれない。
そんなクリフがエンディングではヒッピー相手に大立ち回り。胸のすく感じがありました。
タランティーノ監督は、そのバイオレンス描写が一つのウリ、なんてよく言いますが「ああ、こういうシーンのことを言うのか~」と思って納得でした。
ガールズがめちゃくちゃきれい(特に足が)
今回の作品、出てくる女の子がとてもきれい。それも、脚が。
というのも、主に登場する美人2人(マーゴット・ロビー演じるシャロンテート、マーガレット・クアリー演じるプッシー・キャット)がともにショート・パンツを履いているから。
ちなみに、クリフ(ブラッド・ピット)にモーションかけてくるのがプッシー・キャット。かえすがえす、そのお誘いを断れるクリフはカッコいい。
こういうことを言っちゃうと、フェチっぽいんですが、この美女2人の“足の裏”が映るシーンが、それぞれにあるんです。なんか妙にドキッとしてしまった…。映画で足の裏見ることなんてあまりないので(まあ、普段の生活でもないですが)。あれは監督のこだわりなのかどうなのか。
いずれにせよ、美女2人のスラリと伸びた長い脚が、この映画の魅力を20%くらいアップさせているのは間違いないです。
「シャロン・テート殺人事件」については絶対に基礎知識を仕入れておくべき
この映画の紹介文やレビューで「シャロン・テート殺人事件」については知っておいた方がよい、という内容のものをよく見ますが、ぼくもはっきり、そう思います。
なぜなら、映画の後半では、真夜中に起きたこの残虐な事件の発生に向けて、劇中のリアルタイムが画面上に表示されるから。その殺人事件のことを知ってないと、たぶん、あの時計の意味はさっぱり分かりません。
もちろん映画においては、事件は現実とは違う展開をします。そこは、上述したようにめちゃ笑えて、スカッとして、気持ちいいので、楽しみにしてみてください。
余裕ある人は、60年代の時代の空気についても知っておくとベター
映画では、ヒッピーたち(戦争反対やフリーセックスを唱えて、共同生活するなど、当時、自由を謳歌していた若者たち)にも独特の立ち位置が与えられています。自分は今まで、ヒッピーのことを、なんとなくイメージとして分かっていたつもりだったんですが、当時の年長者(この作品では、クリフがその代表)からは「ヒッピーはこんなふうに見えていたんだ…」というのが良く分かりました。ヒッピーの多面性を知った、というような感じです。
ですので、余裕がある方は、60年代のヒッピーやフラワームーブメントについてもサラっと予習しておくとよいかもしれません。
最後に~笑いあり、泣きあり、セクシーあり~
他にも、機知にとんだセリフや、60年代当時の美術・音楽にこだわった雰囲気づくり(当時の音楽を流してのドライブシーン、当時の映画館の連続カット等)など魅力的な要素満載でした。恥ずかしながら、タランティーノ作品が初めてだったので、がぜん彼の他の作品に興味が出てきました。
映画を見て、笑ったり、ホロッとしたり、セクシーな気持ちになりたい人、ぜひこの作品、観てみてください。