歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

JR代々木駅 地形的・歴史的マニアック案内

"地味な"駅なりに見るところはある。

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代々木駅は地味だけど…

自分のJRでの最寄駅となると「代々木駅」になります。

代々木という地名は、代々木公園が存在してることもあって、それなりに全国的にも知られているとは思うのですが、代々木駅となるとどうでしょうか。あまり降りたことがないなあ、という人も多いのでは。

自分も代々木界隈に住むまではほとんど利用してことがありませんでした。はっきり言って代々木駅自体は、地味な駅だと思います。

でも最近買った「山手線ディープ案内」という本を読むと、鉄道に関心ある人なら、代々木駅って、意外と見るところがある…という結論に至りました

行ってはいけない!  山手線ディープ案内

行ってはいけない! 山手線ディープ案内

  • 作者: 首都圏裏町探検隊
  • 出版社/メーカー: マイクロマガジン社
  • 発売日: 2018/08/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 本の内容に実地に観察したことを加え、レポートしたいと思います。

 

代々木駅は新宿駅と近すぎる!

「山手線ディープ案内」にはこうあります。

代々木は、ほぼ新宿である。新宿駅の新南口から代々木駅までの距離は約700メートル。山手線の駅のなかでもっとも区間が短く

この"代々木駅と新宿駅が近すぎる問題"というのは、代々木駅ホームの、北側の端に立つと実感できます。

こちらの写真をご覧ください。

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新宿のタカシマヤ タイムズスクエアや、ニトリ新宿が目と鼻の先に見えます。正直、この辺りのお店に行くなら代々木駅から行った方が人も少ないし、快適かも。

それにしてもどうしてこれほどまでに新宿駅に近いところに、代々木駅を作ったのか。謎ですね…。

 

代々木駅にはホームの段差がある!

代々木駅の2番ホームは山手線外回り(新宿・池袋方面)、3番ホームは総武線下り(中野・三鷹方面)そのホームの間にはなぜか段差があります。 

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段差は15センチくらいあるでしょうか。総武線ホームの方が高くなっています。

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駅のアナウンスでも、段差に注意するように呼びかけていました。

なぜこんな風な段差が生じているのか

再び「山手線ディープ案内」を引いておきます。

(ひとつのホームに段差があるのは)代々木~新宿間で、下りの中央・総武線各駅停車が急坂を登って山手線をまたぐというのは特殊な構造と、新宿駅と代々木駅が近すぎることが原因。短距離区間で電車を立体交差そせないといけないため、かなりの急勾配になる。この急勾配のせいでホームに段差が生じたのだ。

もう少し説明を加えます。

総武線(各駅停車)下りは、東(千駄ヶ谷の方向)からやってきて、代々木~新宿を走ったあと新宿の次は、西に大きく曲がります。

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そのため、新宿駅の総武線(各駅停車)下りホームは、新宿駅でも最も西側にあります。

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代々木から新宿までわずかな距離しかないのに、東から西に大きくコースを変えねばならないので、急勾配を作ってでも山手線を越える必要がある。そのため、もう代々木駅の中から、線路の傾きが始まっていて、それがホームに反映され、結果、隣の山手線2番ホームとの段差が生じている、というわけです。

総武線の勾配を確かめてみた

こちらは1番線ホームの北端から総武線(各駅停車)下りを見たところ。

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総武線下り、確かに勾配を上ってますね。

もう一つ、こちらは4番線ホームからの眺め。

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総武線(各駅停車)下りの勾配。よく分かります。

ホームの段差という、なかなかお目にかかれないものがあるのには、それなりの理由がありました。

 

代々木駅は"代々木"ではない?

代々木界隈に住んでると”いったい代々木ってどの辺りを指すの?”問題にぶち当たります。はっきり言って"代々木"という地名で指し示す範囲が広すぎて、茫漠としてるんです。

JRの駅前という意味では、代々木駅前は"代々木"なんですが、小田急の代々木八幡駅や代々木上原駅も"代々木"。地下鉄千代田線の代々木公園駅も"代々木"です。

でもJR代々木駅と、あとの3つはすごく離れていて、その3つのうちどの駅に行くにも、歩いて30分くらいかかります。

地図で示すとこんな感じ。

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どうしてこんなことが起きたのか。

それはJR代々木駅がもともと、旧代々木村ではなく、旧千駄ヶ谷村に作られたことに端を発します。

千駄ヶ谷村に千駄ヶ谷駅が作られたので、新たに駅(現代々木駅)を作る場合、同じ駅名はまずい。駅が造られたポイントは千駄ヶ谷村のなかでも代々木村に近かった場所なので「代々木駅」と命名されたようです。

逆に言うと、ほんとの代々木の中心は今の代々木八幡宮がある辺りです。実際、代々木八幡宮は代々木村の鎮守(土地の守り神)でした。また近くには元代々木町という代々木のルーツを感じさせる地名も存在します。

このように鉄道の駅が本来の地名と違ったところに造られると、その駅名に引きずられて、地名のイメージが駅周辺になると言うのは、代々木に限らず、あちこちで見られる現象です。

お隣の新宿も、もともとの新宿と言えば今の”新宿三丁目~四谷辺り”を指していました。駅が今の場所にできたので、新宿というとどうしても駅周辺を思ってしまいますが。

 

最後に

地味ながらも、調べていくとなかなか面白い地形や歴史のトリビアを吐き出してくれる代々木駅。また何かいいネタがあったらレポートしたいと思います!

 

代々木村の鎮守だった代々木八幡宮。今でも代々木在住の人たちの崇敬を集めています。

www.rekishitantei.com

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