歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

Exhibitionism-ザ・ローリング・ストーンズ展 感想

キース「音楽に関するミックと俺の絆は物凄く強いと思うよ」 キース

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めっちゃ”サティスファクション”な展覧会

「ザ・ローリング・ストーンズ展」@五反田メッセ に行ってきました。

入場料3,500円と展覧会にしては、やや高いですが、その値段に見合う満足感がありました。なんといっても、いたるところでストーンズの楽曲が流れているのがよい!まさに、これぞ”サティスファクション”です。

ローリング・ストーンズと言えば、世界で最も有名かつ偉大なバンドの一つ。ともすれば、主催者側の「まあ、テキトーなモノを展示しときゃお客は来るだろ」的な甘え・おごりが匂ってくるようなこともありそうですが、この展覧会に関して、そういうのは一切なかったです。むしろ入場者の心を揺さぶってやる(ロックさせてやる!)、という気合とイマジネーションを感じました。

心に刺さったポイントを振り返ってみたいと思います。

 

平日はやはり空いている

自分が訪れたのは4月上旬の平日の午後2時ごろ。

受付のスタッフさんは、若干ヒマそうで、ぼくが入って行ったら「仕事を見つけた!」って感じでうれしそうでした。

ただ中に入って展示を見ていたら、少しずつ人が増えてきた。

後述しますが、ヘッドフォンを使って音楽を聴くブースなど、混んでいたら行列必至なコンテンツもあるので、やはり空いている時間帯を狙って行くのが吉ですね。

 

全展示 撮影OK!

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写真&動画ともに撮影OKでありがたかった。PVをつなぎ合わせた動画など編集も音楽のつなぎもカッコよくて、ついつい撮りすぎてしまいました。

 

ずっとストーンズの名曲が響いている

入ってすぐの展示。マルチビジョンにストーンズの関するあらゆる映像が彼らの名曲とともにランダムに流されています。もうこの辺りからテンションが上がってくる。

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今回、この会場のどこに行ってもバックにずっと曲がかかっていて、しかもその音の編集が、オイシイところを絶妙につなぎ合わせた感じで実にいいんです。

振り返ってみると、自分の満足感が高いのは、これが理由かもしれない。

 

世界一のバンドが”誕生した”部屋

バンド発足当時、ミック、キース、チャーリーが共に過ごしていた部屋。彼らの記憶を元に再現してあります。

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ベッドルームは一つ。キースはリビングで寝ていたそうです。

彼らの当時の部屋(めっちゃ汚い…)を再現するというアイデアがユニーク。

まだ”何者でもなかった”彼らの空気感が伝わってきます。この辺から「この展覧会、すごくよく考えられているのでは…」と思い始めました。

 

キース「ジャカジャカ弾くだけじゃダメだ」~再現されたスタジオで 彼らの「音楽哲学」を聞く~

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これは彼らの初期のスタジオ(ロンドンにあるオリンピック・サウンド・スタジオのイメージ)。

この展示に関してユニークなのかこちら。

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よく博物館であるように、ヘッドフォンで動画を再生しながら、その音声を聴くことができるんですが、その中身のコンテンツが興味深い。

音楽プロデューサーによるストーンズの凄さや、キースのレコーディングにかけるアツい思いなど、彼らの音楽に対する深い愛や洞察がよくわかるようになっています。

例えば、こんな感じ。

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ドン・ウォズ(音楽プロデューサー)

史上最高のロック・バンドだと心得ているつもりだ

彼らはいいテイクのために妥協はしない

彼らの考えでは月並みは大敵なんだ

”そこそこの出来”で妥協しないから ここまで永らえた

 キース・リチャーズ

曲に合わなければ何でも替える

アンプでも設定でも何でもね そのためにスタジオがあるんだから

ジャカジャカ弾くだけじゃダメだ

このギターとあのアンプを組み合わせたら 求めていた音が得られるかもしれない

だからレコーディングは常に実験 そこが好きなんだよ

"これではダメだ””こっちだとどうかな”

メンバーやプロデューサー エンジニアとあれこれ言い合う

”出来ないってどういうことだ おいおい工夫しようぜ”

考えれみれば当たり前なんですが、ローリング・ストーンズだってクリエイターなんですね。

どうもイメージ先行で、やりたい放題やってる不良中年ロックバンドみたいに思っていたので、このキースの音楽への真摯な向き合い方など、本当に意外でした。彼らがずっと音楽シーンの一線にいられることの秘密が分かった気がしました。

 

キースの”5弦ギター”愛

キースってギターに弦を5本だけ張って(ふつうは6本)、「オープンGチューニング」という特殊な調弦で弾くことがままあるんですが、そのオープンGにまつわるギターが展示してありました。ギターを弾く自分にとってはなかなか”胸熱な”スポットでした。

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これはキースのオープンGチューニングのために特別に製作されたギター。最初から弦が5本しかありません。こんなギターがあったとは!

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これはキースが今もメインに使ってるという(ほんとかな?メインのギターを展示してるのどろうか)フェンダー・テレキャスター。キースといえばテレキャスターのイメージ。キースのテレキャスへと愛は深いようです。

展覧会にあったキースの言葉より引用しておきます。

テレキャスターはいいよ。特に俺のはね。このギターが自分に合うんだって突然気づいたんだ。しかもチューニングを変えるのにはもってこいでね。弦を少なくしたり、いろいろできる。

(略)

”お好きにどうぞ。言ってくれればそうするよ”みたいな感じだ。

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こちらはフェンダーと並ぶギターの超有名ブランド・ギブソンのレスポール・ジュニア。キースいわく最もテレキャスターに近いギブソンのギターだそうです。キースのテレキャスへのこだわりはどこまでも。

 

これは斬新!ストーンズの曲をお好みのミキシングで

音で遊べる最高のコーナーもありました。

ストーンズの名曲の、ミキシングを自分でいじって、好きな楽器の音を思う存分聴けるんです。

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ディスコナンバーのMISS YOUのベースを強調してビートを楽しんだり、START ME UPのサイドギターを上げて普段はなかなか聴こえないギターフレーズを探ってみたりしました。

ここ、なかなか人気が高かったです。ヘッドフォンで一人ひとりしか遊べないコーナーをゆっくり楽しむためにも、空いてる時間に行くのをおススメします。

 

ヴィジュアルにも”深い思考”が

展覧会の説明文からの引用です。

ファースト・アルバムのジャケットからプロモーション用のポスターまで、ザ・ローリング・ストーンズ(特にミックとチャーリー)は、アーティストやグラフィック・デザイナー、フォトグラファーといった人たちがバンドの総合的なアイデンティティに大きく貢献することを認識していた。こういったコラボレーションで、ロックンロール界における最も象徴的、かつ物議を醸し出すようなイメージが生まれることとなった。

ストーンズはバンドの結成当初から、自分たちのイメージ作りをすごく意識していました。

ミックのこんな言葉も。

イメージは物凄く大切だよ。とかくミュージシャンは、肝心なのは音楽だけだなんて言いたがるけど、もちろん違う。何を着て、どんなルックスで、どう振る舞うか、そういうものすべてが肝心なんだ。

これを読むとストーンズの”不良性”も考え抜かれたイメージ戦略だったんだ、と気づかされます。

ストーンズといえば誰でもすぐにピンとくる"ベロ"のロゴ

こういったバンドのヴィジュアル面の戦略に光を当てたコーナーも充実していました。 

ストーンズのロゴが変化していくオブジェ。

 

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今や、ロックバンドで最も有名なロゴでしょうね。

このロゴを生み出したデザイナーの言葉が、このロゴの魅力を正確に語っています。

このロゴがこうして時代を超えて生き残っているのは、普遍的なステートメントだからだと思う。何かに対して舌を出すというのは、非常に反権威的で、抗議行動そのものだ。だから、いつの時代にも若者がそれに共感するのかもしれないね。

ジョン・パッシュ

どれも印象に残るアルバムジャケット

こちらのアルバムLET IT BLEEDのジャケットイギリスの有名なシェフがアルバム写真用にケーキを作りました。

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これストーンズのジャケットで最も有名かも。STICKY FINGERS

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ポップ・アーティストの巨匠、アンディ・ウォーホルが考えた、ジーンズのファスナーを使ったジャケット。

これはジャケットの内側だそうです。これ、初めて見た!きっと貴重ですよ。

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発想がぶっ飛びすぎてて面白い。音楽をストリーミングで聴く現代だと、こんな作品、もう生まれないかもしれないです。

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ほかにも見てるだけでアートな気分に浸れるジャケットが多数ありました。

音楽コンサートから壮大なショーへ

ストーンズのド派手で、ゴージャスでメガトン級なステージセットを紹介したコーナーも。

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その道の一流のプロを起用しつつ、自分たちのヴィジュアルを隅から隅までコントロールし、プロデュースしようという姿勢は徹底してます。ミックはきっとビジネスマンでも成功していたでしょうね。

時代を映すミックの衣装

こちらはミックの衣装を年代順に追ったコーナー。

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60年代のサイケデリックなものから、派手派手しいグラムロック風のもの、そして少しシックなものまで、時代に応じてきっちり変化しています。

ストーンズという不変のブランドを守るために、時代の空気を衣装にまで反映させています。変わらないでいるためには、常に変わらなければいけない…みたいな老舗の経営哲学のようです。

 

シメはVIDEOで盛り上がる!

展示の最後は映像作品が3本立てで。

こちらは過去のPVを一本にまとめたもの(かなたぶん)。まるまる動画を撮ってきたので、アップしておきます。

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若い頃に見た懐かしいものから、最新のヴィデオエフェクトを使ったものまで、実にテンポのよい編集。

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2本目は映画監督マーティン・スコセッシが自身の作品のものも含め、ストーンズが出演している映画を解説したもの。映像作家がこの稀代のロックバンドをどういう眼で見ているか、よくわかります。

この映像にその一部が紹介されてるんですが、ゴダールもストーンズを撮ってたんですね。知らなかった…。

3本目は3Dメガネをかけてのサティスファクションでした。めちゃ盛り上がって気分よく展示を見終わりました。

 

最後に

ストーンズファンはもちろん、「有名な曲は知ってるけど、詳しいことは知らない…」という方や若い人で「ストーンズ、ちょっとかじってみたい!」という人まで、誰でも楽しめる展覧会だと思います。少しでも関心ある方はぜひ!

ちょっと五反田駅からは歩きますが…(10分くらい)。

会期

2019年3月15日(金)~5月6日(祝)