歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

闇(ヤミ)市名残の横丁~池袋東口・美久仁(みくに)小路~

池袋に”戦後間もない頃”の雰囲気を感じる。

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古い写真の貼ってある横丁を発見!

池袋の東口を歩いていると、入り口に古い写真が貼ってある横丁を見つけました。

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「美久仁(みくに)小路…? 知らない…」

池袋にあまり来ることがない、というのもあってこんな横丁の存在は知りませんでした。

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でも、入り口にはこんな昭和時代の白黒写真が掲げてあります。

美久仁(みくに)小路の場所ってどこにあるの?

ちなみに場所はこの辺り。池袋東口から5分くらい歩いたところです。

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ここの歴史を調べたら面白そうな気がする、と”街歩き大好き人間”の直感が働きました。で、そのまま豊島区の中央図書館に行ってみました。

 

新書で見つけた横丁の記事

中央図書館で地域史のコーナーを見てみると「横丁の引力」(三浦展 著)という新書にまさにこの美久仁小路に一章が割かれていました。

その新書やその他、豊島区に関する資料の助けを借りつつ、この横丁をレポートします。

 

戦後、池袋駅周辺にはヤミ市からスタートした

新書の中で、美久仁小路に関する章は、美久仁小路の居酒屋「ずぼら」を経営する小野博さんの話で構成されています。

こちらが、その居酒屋「ずぼら」

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横丁の入り口に確かにありました。 

 

戦後すぐ、池袋駅の東西にはいち早く、バラック(仮設の建築物)の闇市ができました。

こちらが池袋駅東口の闇市の様子(昭和23・1948年)です。

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その後、東口の闇市の店舗は区画整理で、この美久仁小路に移転させられました。

この「ずぼら」が現在の場所で商売を始めたのは昭和26(1951)年だそうです。今年で68年。歴史ありますね〜。

 

横丁は”何でもあり”だった

戦後すぐの頃は、ヒロポン(覚せい剤の一種)を売る店もあったそうです。また店舗の2階は「ちょんの間」(短時間で売春させるスポット)でした。

この2階が「ちょんの間」という構造は他のエリア(渋谷ののんべえ横丁など)でも見ることができますね。

あと、当時の雰囲気を伝える記述を「横丁の引力」から抜粋しておきます。上述の小野さんの話です。

中国や韓国や台湾の人は戦争に勝ったっていうんで、組合をつくって暴れるから、親父たちはオート三輪に乗って「出入り」に連れていかれたって。市場でも、中国の人はお米があるから、チャーハンなんかつくってくれるんだって。でも、日本人はお米がないから、「おから」でおすしをつくって。(「横丁の引力」より)

現在放送している朝ドラの「まんぷく」でも、闇市が出てきますが、こんなカオスな状態だったんでしょうか。

 

池袋は”駅から少し離れたエリア”が面白い!

先ほども書いたように,戦後、駅前に誕生した闇市は、先ほども書いたように少し離れた今の美久仁(みくに)小路辺りに移転させられました。その駅前は再開発を繰り返しますが、美久仁(みくに)小路まではその開発の波が及ばず、かえって昔の雰囲気を残すことになります。

池袋駅前って、大手資本のチェーン店が多く「あまり個性がないなあ」と思ってただけに、今回のこの横丁を発見したのは収穫でした。

「駅から少し離れたエリアは戦後の雰囲気を宿すタイムカプセル」という法則は他の駅でも当てはまるのかもしれません。また調べてみたくなりました。 

 

補足:なぜ美久仁(みくに)小路というのか?

名前の由来については、こちらの記事が参考になりました。

アイ・マイ・ミー:美久仁小路~人世横丁,池袋の夜

引用します。

あくまでも私が地元地主の方などから聞いた話ですが、当時の「美久仁小路」は在日外国人が多く集まったことから、現在差別用語となっている「三国人/さんごくじん」の集まる所と言われ、某長老がそれでは喧嘩になるとして、「みくに」と読み「美久仁」の漢字を充てたとのことです。

三国→美久仁になった可能性があるというわけですね。なるほど…。

そういえば、昔、当時の石原慎太郎知事が「三国人」という言葉を使って、批判されたこともありましたね。

 

 ★参考文献

横丁の引力 (イースト新書)

横丁の引力 (イースト新書)