歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

これで100円! コスパ最強の博物館~箱根ジオミュージアム~

箱根の火山・温泉とだいぶお友達になれた気がする。

f:id:candyken:20180312160207j:plain

箱根・大涌谷にある「箱根ジオミュージアム」が素晴らしかった。

箱根っていくつも温泉地があります。有名なところだとロマンスカーの終点である「箱根湯本」とか箱根駅伝のコースにもなっている「宮ノ下」とか、名前くらいは聞いたことがあるよ、という人も多いと思います。でも箱根以外の人にとってはそれらの温泉地の由来や特徴にどんな違いがあるのか、ってあまりよく分からない。どこか”箱根の温泉地”ということで、十把一絡(じっぱひとから)げにしてしまうところがあります(ま、そんな違い、気にならんわ~。気持ちいい温泉に入れればそれでいいわ~という人もいるかもしれませんが)。

 

でも、このミュージアムに来たら、その温泉地のキャラの違いもよく分かるし、そもそも”箱根”という日本有数の温泉・景勝観光地がどうやって形成されたのか、という点もかなり丁寧に説明してくれています。しかも入館料100円!このミュージアムを見ておけば大涌谷名物・黒たまご1個分の値段で、箱根のウンチクを立派に語れるようになるんですから、こんなオトクな話はありません(実際には黒たまごは5個売りです。念のため)。

しかも写真撮影OK!ブロガーには助かる!

 

詳しく紹介していると長くなりすぎるので、自分が「へ~!」と思ったり「この知識、役にたつなあ」と思ったところを中心にブログに上げておきたいと思います。

 

まず入館してすぐの立体地図。箱根の凹凸激しい高低差が一目瞭然です。 

f:id:candyken:20180314010002j:plain

箱根の主要な交通路である箱根登山鉄道や国道1号が川に沿って通されているのがよく分かります。正確に言うと、川に沿って作られていた古道に沿って、近代に入ってからの交通網が整備されたわけですが。自動車以前の人が歩く道は、川沿いか尾根づたいというのが多かった。その方が高低差が少なくなるので歩く人の身体にとって優しいからです。

 

こちらは、箱根観光の玄関口・箱根湯本のあたりの地形川(早川)が削った渓谷にあるのが一目で分かります。

f:id:candyken:20180314010101j:plain

ちなみに箱根湯本の実景がこちら。川を中心に山が迫っていて、確かに谷の地形になっている。

f:id:candyken:20180314011755j:plain

 

箱根の各温泉についての簡潔な説明もありました。主なものをピックアップします。
(写真のテカりはスイマセン!)

 

湯本温泉は奈良時代に発見されたという箱根で最も古い温泉だそうです。

f:id:candyken:20180314010302j:plain

この温泉の周辺を箱根”湯本”というだけはありますね。この”本”はいちばんの中心、という意味だと思います。例えば大阪・船場の中心である本町の”本”と同じです。

 

宮ノ下温泉宮ノ下の”宮”は熊野神社のこと。室町時代に発見されたということで
箱根湯本からはだいぶ時代がくだっています。

f:id:candyken:20180314010344j:plain

 

箱根登山鉄道の終点、強羅温泉。「幅1kmほどの台地に開けた温泉地」とありますが
実際に先ほどの地形図を見てみると、確かに台地上に駅などが作られています。ただ、この前日に自分が宿泊した宿は、強羅駅から谷を挟んだ向かい側の斜面にありましたが。強羅地区の高低差はとにかくすごかった。歩くのはキツい土地ですね。

f:id:candyken:20180314010443j:plain
元々別場所(早雲地獄)からの引き湯で開発が始まり、強羅自体での温泉掘削は戦後なんですね。温泉地の温泉はそこで噴き出しているものだ、と思い込んでいたので、引き湯から始まる温泉地もあるんだというのが自分的に「へ~!」でした

 

箱根ジオミュージアムもある大涌谷

f:id:candyken:20180314010604j:plain

説明書きによれば、ここが箱根一帯の温泉地への「温泉供給基地」になっているようです。名前の通り温泉が”大きくわく谷”「大涌谷」というだけはある。

 

こちらが大涌谷から温泉が運ばれる様子を解説した図です。

f:id:candyken:20180314010906j:plain


一方でこんな説明もありました。古くは「大地獄」と呼ばれていたとか。

f:id:candyken:20180314010956j:plain

確かに大涌谷の景色を見てると、地獄感ありますよね。

 

箱根の火山がどうやって出来たのかについても、詳しい解説がありました。

元々伊豆半島は海底火山から出来た島や浅瀬で、それがプレートの働きにより本州にくっつきます。そのため土地が隆起し、丹沢山地、足柄山地が出来ました。さらに火山活動も始まり箱根火山が出来ました。

f:id:candyken:20180314011104j:plain

 

f:id:candyken:20180314011152j:plain

f:id:candyken:20180314011228j:plain

説明の中にある「カルデラ」とは、一気に大量のマグマが地下から噴出されると、山体が陥没してできるくぼみのことです。

f:id:candyken:20180314011311j:plain

神山という箱根の中心にあった成層火山が噴火により大崩壊を起こした跡が大涌谷です。

自分的にかなり驚いたのは、この大崩壊が3000年前に起こったということ。3000年なんて数十億年の地球の歴史から見れば、超ごくごく最近です。しかもその芦ノ湖は早川(先ほどの立体地図でも確認した川。強羅、箱根湯本を流れている)がせき止められて出来た湖とは!

時代的には縄文時代なので、早川がせき止められて芦ノ湖が生成される過程を見ていた縄文人もいたということになります。ただ激烈な大地の変動だったでしょうから、悠長に観察している場合ではなかったでしょうが。

 

 

箱根はこのエリアだけでたくさんの種類の火山が見られるそうです。この知識を頭に入れた上で箱根の山々を見ると楽しそうだ。

f:id:candyken:20180314011349j:plain

 

箱根は幾つもの火山が噴火を繰り返し、途中でカルデラも形成されています。だから立体地図を見ても分かるように、火山が大きく輪を描くように並んでいるんですね。熊本の阿蘇山と一緒だ。

f:id:candyken:20180314011426j:plain

 

箱根ジオミュージアムのポイントをさらっと紹介してみました。実際はこの博物館、もっともっと情報量が多いです。箱根観光を地形的、景観的により深く楽しむためにも、一度足を運んでみることをおススメします! 

 

※参考文献「日本列島100万年史」ブルーバックス

日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語 (ブルーバックス)

日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語 (ブルーバックス)