歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

最強の試飲ができる酒蔵〜秋田県横手市・日の丸醸造〜

わずか200円での至福。

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一見の価値あり 美しい木造商家群

秋田県横手市に増田町(ますだまち)というところがあります。周囲はふつうの現代の田舎といった風景なのに、この地区の真ん中を通る中七日町通りを通ると景観が一変。風情ある木造家屋が道の両側に連なります。

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増田というところは江戸時代からこの地域の葉タバコや繭を扱う商人が集まっていたところで、明治に入ると、近くに銅の鉱山(吉乃鉱山)が発見されたこともあってさらに発展したらしいです。その往時の雰囲気を今に伝える明治から昭和にかけての商家が今も大切に残されています。

※増田町観光協会の公式HPです。

http://masudakanko.com/

 

さて、自分は伝統的な街並みを観るのが好きなので、その増田を訪ねたのですが、到着したのが午後3時半ごろ。あまり時間がなかったので「駆け足で回らないと…」と思ってました。で、町のほぼ南端で試飲ができる酒蔵をいきなり見つけ、料金も200円ということもあり、とりあえず飛び込んでみました。するとこれが大正解!今まで入った見学させてくれる酒蔵の中でもトップクラスに素晴らしかったです。詳しく書きます。

 

酒作りはアートだ!

中ではまず建物についての概略が。

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なるほど、明治の建物なんだな…と思いつつ先に進む。すると酒米についての解説コーナーがありました。

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この酒蔵では農家さんと組んで酒米を栽培したり、様々な酒米や酵母の組み合わせを少しずつ変え、毎年50種類以上もの日本酒を造っていらっしゃるとか。

 

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なかなか実験的、挑戦的な試みで面白いですよね。

現場にあった解説によると…

酒米が違えば当然発酵過程も異なります。さらに酵母、麹菌を使い分け、酒米の吸水歩合を0.1%単位で勝負していく。これが我々日本酒造りに携わる人間の挑戦であり、愉しみなのです。

とあります。酒造りを左右する要素は「酒米」「酵母」「麹菌」「吸水歩合」がある、と(吸水歩合とは吸水させる時間で調整するのでしょうか)。それにもちろん「仕込み水」や「その年の気温」なども要素に入るんでしょう。そしてもちろんそれらの諸条件を勘案して判断していく杜氏さんもセンス・力量も必要なはず。なんというか、酒造りはアートなんだな、と思った。

 

酒米にはこんなに種類がある!

酒米そのものの展示と解説もありました。いくつか抜粋で紹介しておきます。

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全国で唯一、この酒蔵が使用している「日の丸」。30粒の米から復刻栽培に成功下とか。酒米に賭ける情熱が伝わってきます。

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山田錦はよく名前を聞く酒米ですよね。解説によると「綺麗すぎて個性を出しにくい」のだとか。話飛びますが、日本のオーケストラって「上手いけど、味わいがないなあ」って言われることが多いらしいんですが、なんか言い回しが似てる。

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漫画「夏子の酒」のモデルになった酒らしいです。1994年のテレビドラマは自分も見てました。主演の和久井映見がまだ若かった…。

 

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分かりやすいネーミングですね、「秋田酒こまち」。食用米の「あきたこまち」の酒米版だ。
杜氏さんはこれらの酒米の特長を引き出してそれぞれの銘柄を作っていく、と。酒造りも突きつめていくとほんと面白そうだ。

 

なんだ⁈この豪華な土蔵

解説コーナーが終わると、なんと建物の中に豪壮な土蔵が現れました。

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建物の中に蔵とは…。こんなの初めて見ました。 当地の言葉で内蔵というそうです(文庫蔵とも)。

中に入ると、なんだか内装がつやつやに光っている。総漆塗りだそうで、この漆は完成時の当時のまま。

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壁の柱です。青森ヒバの「通し柱」と言われるものだそうです。一尺間隔に整然と並んでいるさまが幾何学的で非常にモダンな感じがする。

この土蔵、かつては季節の節目の慶事に使われていたらしいのですが、現在は客間として使用されているそうです。蔵を客間と使うのにも驚き。日本にはいろんな住まいの文化がありますね。

 

6種類の酒をチビチビやる ゆっくりと

さて、観るべきものを観て、入り口まで引き返してきて、いよいよお待ちかねの試飲コーナーです。

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試飲コーナーといっても、こうやってお酒が冷やして並べてあって、それをプラスチックのおちょこで自分で注いで、チビチビやるわけですが、いい意味でほっといてもらえるのがラクでいい。

お酒は6種類あって、ノンアルコールの甘酒、2種類のリキュール(梅・ぶどう)、2種類の日本酒、酒粕焼酎というラインナップでした。

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蔵元限定酒をチビチビと

甘酒はたいへんふくよかでおいしい。これはお酒飲めない人でも絶対楽しめると思います。リキュールは甘いがスキッとしている。日本酒も酸味があるもの、コクがあるものがあって、どちらも蔵元限定酒。酒粕焼酎はやはり米由来なのか沖縄の泡盛にも似ていました。

最初は一つ一つ、ふむふむ、と味わいながら飲んでいたんですが、途中から「もうどれも美味しいわ!」みたいに次々とクイクイいっちゃいました。ま、一杯一杯がおちょこなので酔っ払うまではいきませんでしたが、たいへんいい気持ちになりました。でも気をつけないとヘベレケになってしまう人もいそう。

 

最後に

お酒について楽しく学べて、この土地ならではの土蔵の文化に触れられ、その上でお酒も楽しめるなんて、素晴らしくコスパの高いスポット。横手周辺に来たらわざわざ立ち寄っていく価値あると思います。ぜひ。

 

補足

この酒蔵の社名である「日の丸」は秋田藩主・佐竹家の家紋である五本骨の扇に由来するらしいです。佐竹家の家紋についてはこちらの記事もご参照ください。

www.rekishitantei.com

 

※横手駅前ですごく楽しい日本酒バーに行ったというお話。

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