歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

東京・日本橋の三つの春~福徳の森~

日本橋に”小さな森”があった。

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3月半ばの日曜日の夕方、日本橋をぶらぶらしていたときのこと。コレド室町前の中央通りから東に入ったところにかなり大きな赤い鳥居を見つけた。

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「あれ、こんなところに神社あったんだ」という気持ちで近づいて、案内版を見てみる。

 

社名は福徳神社。公式のHPによれば貞観年間(平安時代)にはこの地に鎮座されていたという。平安時代って、浅草寺の飛鳥時代には及ばないにせよ、相当な歴史がある。東京で江戸より古い歴史に出会うと土地の古層に触れたようで何だか嬉しくなってしまう。そのころ、この辺りは街にはなっていなかっただろうが、人の営みは確かにあった。江戸時代からだけが東京じゃないんだぞ、みたいな。

 

しかしここの鳥居や社殿はやたら新しい…。

それもそのはず。神社は戦災で焼けてしまい、平成26年になって再建されたらしいのだ。

 

ただいくら社殿が新しいと言っても由緒は正しいお社。1000年以上の歴史を感じられる"よすが"として鳥居と社殿がこのビル群の中におさまっているのを見ると、勝手に悠久の歴史を想像してしまい嬉しくなる。

 

さて神社といえば、森がつきもの。この都会の神社にも小さいながら森が付随していた。「福徳の森」というらしい。この森、春を代表する三つの花がひとところに植えられてる。

 

こちらは、3月半ばに入っても綺麗に咲いている梅。

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その横には、ほころび始めた桃。濃い紅が鮮やか。

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ふりかえるとまだつぼみが固い枝垂れ桜。背景にCOREDO室町のモダンなビルを背負いつつ。

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もう少し暖かくなれば3つの花が同時に見られるだろう。なかなかステキなことだ。

 

梅と桃が同時に見られるといえば、自分としては京都御所の梅林と桃林を思い出す。

※京都御苑を管轄する環境省のHP
https://www.env.go.jp/garden/kyotogyoen/2_guide/map1_tourin.html

 

京都御苑は梅が約200本、桃が約70本植えられているのでだいぶ華やかではあるが、この福徳の森だって、日本橋を歩いてて、ふいに三つの春と出会えると思うとオトク感があるじゃないですか。

 

加えて、その時は椿が今が盛りのように咲いていた(ブログ冒頭の写真です)。

 

さらにこの森について自分的にポイントが高かったのは、樹木に案内板がついていたこと。例えばこれは「シラカシ」の案内板。「葉の裏が白いのでシラカシか~」と感心したりする。ちょっとマニアックだけど。

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シラカシの全体像はこちら(残念ながら葉の裏側が白いところまでは写真にうまく表現できませんでした)。

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このような街中の樹木について詳しくなると、ふだんの街歩きが楽しくなります。「ああ、あれはシラカシだな」という発見する喜びがある。街の中に自分なりの小さな物語を感じるような。 

 

この森には、ほかに秋のモミジなども植えられている。日本橋でランチなどした後に、コーヒー片手に福徳の森を訪ね、季節の歩みを確かめたりするのも楽しそうだ。

 

福徳の森を作った三井不動産の記事がありました。植えてある木の種類など参考になります。

www.mitsuifudosan.co.jp