歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

週刊新潮の「キャッシュレス」の記事がひどい

自分は絶対キャッシュレス派。

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週刊誌を買わせようという魂胆がミエミエ

週刊誌が”中高年のためのメディア”と言われるようになって久しいですが、「ああ、やっぱりそうなんだ…」と呆れるくらい思ってしまったのが、今週の週刊新潮の記事。

特集「キャッシュレス」のバスには乗らない!

というものです。

電車の中吊りで見ていたときから、なんかヤバそうな内容だな、って思ってたんですが、中身を見たら案の定な感じ。いや、思っていたよりもヒドいかも。

とにかくキャッシュレスのマイナス点ばかりあげつらって、キャッシュレスによって得られる利便性にはほとんど触れることナシです。

こんな記事、アンチ・キャッシュレス派の心をくすぐって「俺たち、このまま現金派でいいんだ」「やっぱりキャッシュレスなんて危険よ。現金が一番」という、現状追認のガチガチの固定観念を強化することにしかつながりません。

まあ、最初からそういうねらいなんでしょうけどね。

結局、ファクトを伝えて、そこから判断してもらう、メディアの役割を放棄して、読者が「現金使うことに安心してたい」と思っている心情につけこんで、雑誌を買ってもらいたい、という魂胆がミエミエです。

どんな記事だったのか、引用しつつ、自分なりの批判や解釈を加えたいと思います。

 

キャッシュレスは”業者のためのもの”なのか?

記事では消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんの談話を引いて、キャッシュレスは業者(お店やサービスを提供する側)のためのもの、と言います。

誤解してはいけないのは、キャッシュレス決済は顧客のためのものではなく、ビッグデータの収集や人件費の節約など、あくまでもお店や、サービスを提供する側のためのものだ、ということです。

そりゃ業者側にメリットがなかったら、キャシュレスの事業が発展することはないと思いますけど、消費者にも十分メリットはあります。ここでは2つ挙げます。

まずポイント還元。自分が普段使っているのはLINE Pay。細かい話は省きますが、自分の場合、一ヶ月10万以上、LINE Payで支払うので、スマホのQRコード支払いなら常時5%引き。LINE Payカードで支払っても2%引きです。いつも5%(2%)割引でモノを買っているようなものです。

2%とかたいしたことない、という人がいるかもしれませんが、高額なモノ・サービスな場合だったらその2%還元が効いてくる。自分の場合、とある病院の治療で30万以上支払い(最近は病院でもLINE Payカード使えるところあります)、7000円分のポイントをゲットしました。夫婦二人で飲みにいける額ですよ。

キャンペーン中の20%還元だと、もっとすごいことになります(まあ、1日1000円まで、とか上限もあるので、とてつもない額にはいかないですが)

もう一つは、キャシュレスだといちいち銀行に現金を下ろしに行かなくてもよいということ。ATMで手数料を支払うこともないし、昼休みATMに並ぶ必要もない。スマホ上でチャチャッと操作したら、お金がチャージされます。

正直、自分はATMに並ぶという行為が死ぬほど嫌いなんです。なんでお金を下ろすなんて、1ミリの価値もないことに自分の時間を使わないといけないんだ、という気分。人生でも最も無駄な時間だと思います。

美味しい食事にありつくために人気あるレストランに並ぶならまだわかるけど、自分の時間削ってATMに並んで現金ゲットしても、チャージしてスマホの中のに数字としてゲットしても、しょせんお金はお金。同じものですから。

人生、一番大事なのは間違いなく時間です。その貴重なリソースをATMの行列にすり潰されたくはない。

 

キャッシュレスのデメリットしか書かないのが公平でない

ふつう、あるサービスについて記事を書くならメリットとデメリットを書くように思うのですが、この記事にはキャッシュレスのデメリットしか書いてありません。

それはもう清々しいほど…

例えばLINE Payのデメリットで挙げられているのは

  1. 起動する際、パスワードが必要
  2. 現金や銀行口座からのチャージが必要
  3. クレジットカードからのチャージができない

です。

以下、反論。

1.はiPhoneだったら、touch IDが使えるので、全然手間ではない。

2.はチャージが手元のスマホでできるのは大きなメリット。ATMに並ぶ必要がないわけですから。

3.は確かに不便と言えば、不便ですが、クレカからのチャージを望むなら、Pay Payなど他の手段を選べば何も問題ないです。

こんな一方的な記事を書かれたら、週刊新潮の他の記事まで信用しなくなりますね。自ら、自分の、メディアとしてのブランドを毀損していると思います。

 

現金=人情味というおかしな理屈

アンチ・キャシュレスの笑えた理由が「人情味も失われる」というもの。その理屈を持ち出すために、記事が取材しているのが75歳の元サッカー日本代表・釜本邦茂さん。

古い市場で”おっさん、あれなに?”と聞いたりして買い物をするのが僕は好き。キャッシュレスだと、そういう人情味もますますなくなりますよね

いやいやいや、お店で会話して買うのと、キャシュレスで決済するの、全然両立しますから。5秒考えたら、それおかしい理屈、って分かりますから。

そんなに人情味を求めるなら、さんざんお店の人と会話すればいい。そして最後にキャシュレスでサッと払えばいい。

記事は、現金=懐古趣味=人情味、という単なるイメージをくっつけて書いてるだけです。本当に読者をバカにしているとしか思えない。

 

最後に

自分としては世の中にキャッシュレスが広まってほしいんです。

一番の理由は、現金使う人とレジで同じ列に並びたくないから。

現金派の人が、小銭を財布から出すのに、モタモタして”時間を無駄使い”するのは、他人の事だからどうでもいいんですが、その後ろに並んでいる人を巻き込んで、こちらもその”時間の無駄使い”に巻き込まないでほしい。

そうやってモタモタするのが、高齢の方だったら「しょうがないか」とまだ思えますが、20歳くらいの人でもけっこうな確率で、自分の財布の小銭あさっている人がいるので、どんより暗い気持ちになってしまいます。これじゃIT先進国なんかなれっこないわ…と思ってしまう。

せめてキャシュレスレジと現金レジを分けるか、無人コンビニ、広まってくれ…。

ちょっと覚えれば便利なことがあるのに、それを面倒くさがって、現状のままで良しとする日本人心性。それを助長するような記事はマジやめてほしいです。