ニーズあるところに勝機あり。
人が「あやとり」と打ち込むとき、他のどんな言葉と組み合わせて検索しているか、がわかる(「データサイエンティスト」のピッチより)
- ユニークなアイデアと熱のこもったプレゼン
- リトル・ママ~育児課題を解決するワンストップメディア~
- パロニム~動画を触っただけで情報にアクセス~
- プルークス~動画を作りたい(作ってほしい)人と動画を作れる人をつなげる~
- トピカ~男性向けのお手軽な料理動画を配信~
- S・S・Motherホールディングス~保育所のアップデイト~
- バタフライボード~ホワイトボードをモバイルに~
- Alphakt~インフルエンサーを見える化~
- シナモン~人間が書いた文書を”構造化”する~
- データサイエンティスト~検索ワードは”あからさまな”本音~
- イベントレジスト~リアルイベントの効率を飛躍的にアップ~
- 最後に
ユニークなアイデアと熱のこもったプレゼン
自分が勤めているのは放送局。そこにベンチャー企業の10社の方々が、ピッチ(事業内容のプレゼン)をしに来ていただく、という機会がありました。
題して「仕事に役立つ出張ピッチ」。”出張”というのは企業の方々が、自分たちの会社に出向いてくださる、という意味です。
ベンチャーの方々には、それぞれに思惑が。
放送局に取材してほしい、番組制作に役立つツールを提供したい、一緒に組んで事業展開したい…。
どのプレゼンも、ゼロから事業を立ち上げ、軌道に乗せている人たちが登壇するだけに、内容もユニークで、熱のこもったものでした。
このブログの読者にも「へえ〜そんな事業あるんだ…」と関心を持ってもらえそうな気がするので、どんなベンチャーの方がいらしていたのかまとめておきたいと思います。
リトル・ママ~育児課題を解決するワンストップメディア~
リトル・ママという紙媒体の雑誌を発行しつつ、webでもメディアを展開、かつリアル・イベントも企画しているという会社。
メルカリが”モノ”を媒介する一方、この会社はママの”コト”を媒介するとのことでした。
乳幼児の子どもを相手にしないといけないママは孤独になりがち。確かにこういうサービス、ニーズあるかも。
パロニム~動画を触っただけで情報にアクセス~
動画に触っただけで情報にアクセス…?言葉だけじゃ意味が分からなかったけれど映像にしてもらうと、なるほど、と。
テレビ見ている時、何か分からないことがあると私たちは検索エンジンで調べがちですが、そこまで(検索にまで)たどり着かない場合もある。
この会社は、その過程をグッとショートカットし、その動画に触りさえすれば、ポップアップが開いて情報が提供されるという仕組みを開発しました。
この技術を彼らは「TIG」と読んでいるそう。
企業の商品のプロモートにだけでなく、地元の観光動画にこの仕組みを埋め込みたいという自治体も増えているそうです。
プルークス~動画を作りたい(作ってほしい)人と動画を作れる人をつなげる~
動画の時代と言われながら、自ら動画を作るとなると、まだまだハードルが高いのが事実。誰に、どのくらいの予算で、どうやって頼めばいいの…?と躊躇してしまう人が多いらしいです。
その過程をまるっと相談できるのがこの会社。世の中の動画クリエイターの存在や、動画制作過程を可視化し、いわゆる”動画素人”にも「動画ってラクに作れるんだよ」というのをサジェスッチョンしてくれます。
トピカ~男性向けのお手軽な料理動画を配信~
男性向けの料理動画「GOHAN」を運営している会社です。
そんな料理動画、あるんですねえ。自分が料理動画といえば「デリッシュキッチン」もしくは「クラシル」しか知らなかった。
またTikTokに力を入れているらしく、小学館(あの老舗出版社)や上新電機、かねふく(明太子の会社)のデジタル展開を助けているそうです。
S・S・Motherホールディングス~保育所のアップデイト~
離職せざるを得なくなった優秀なママさんをサポートしたい!というのが事業内容。
原点は、創業者の方がユニ・チャームに勤めていた時代、おしめを売るのにママ自身が店頭に立って販売したら売れ行きが全然違った、ということらしいです。
ママにモノ・サービスを提供するのに、ママ以上の存在はない、ということですね。
今、注力しているのは、ママが保育所に行くのに”手ぶら”で行けるようにすること。
今、保育所で使うおしめはママが持参しないといけないらしい。その数を管理するのは保育所の保育士さん。そういう”わずらわしさ”からママ&保育士を解放したい、とのことでした。
バタフライボード~ホワイトボードをモバイルに~
もともとビクターでスピーカーのエンジニアだった方が、円滑な意思疎通のためにホワイトボードを持ち運べるよう小型化した商品を開発しました。
スピーカーで使われるマグネットの技術(スピーカーにマグネットが使われているのも初耳でしたが)をホワイトボードに応用したのが面白い。
その方の起業ストーリーは、ネタとして相当練り上げられていて、面白かったです。
Alphakt~インフルエンサーを見える化~
Youtube、ツイッター、インスタグラム上に数多のインフルエンサーがいるが、どの人に拡散をお願いすれば、最も広告効果が高いのか、というのを”見える化”する事業内容。
シナモン~人間が書いた文書を”構造化”する~
東京大学で人工知能(AI)で博士号を取った方(見目麗しい女性でした)が起業した会社。
AIを使って「人間の作成した文書=構造化されていないもの」から要素を抽出し、「構造化=データ化」して、コンピューター等が扱いやすくします。
例えば、ある判決文を分析し要点を抽出するのに、弁護士だと5日かかるところがAIを使えばものの数分でできるのだとか。
将来は、生産性の低い日本の働き方を変えたい、と熱く抱負を話されていました。
データサイエンティスト~検索ワードは”あからさまな”本音~
検索エンジンの打ち込む「検索ワード」の分析に特化した会社。
例えば、「あやとり」のワードと組み合わされてタイプされるワードにはどんなものがあるのか、というと「あやとり ほうき」「あやとり はしご」などが上位を占める。
すると「あやとり」を事業化・コンテンツ化するには「ほうき」「はしご」を念頭においた方が当たりやすい。そういう視点を提供してくれる会社。
プレゼンで曰く、「検索ワードは本音。薬局のお姉さんに相談したい薬と検索エンジンの打ち込む薬は違う」と。
確かに検索ワードからは人の心の底の底が見えてくるのかも…。
ちなみにこの会社、SNS上の分析は止めてしまったそうです。なぜならSNS上で人はは”他人の目を気にした物言い”をするから。この御説にもいたく納得。
イベントレジスト~リアルイベントの効率を飛躍的にアップ~
リアルイベントの告知・事前集金・参加者管理を一元化できるプラットフォームを提供。
また参加者属性のデータが細かく取れるため、指標をもとにイベントの改善も期待できる、と。
うちの会社も早くこういうのを導入してほしいです。未だに一部のイベントで(信じられないことに)往復はがきで募集してたりしますから。
最後に
ベンチャーの人はすごい。世の中のニーズを探り出して、そのニーズを満たす商品・サービスを、アイデアにして、カタチにして、金を稼いでいるわけですから。
自分は新卒で大きな会社に入ったので、ベンチャー成功させている人を見ると、何かしらのコンプレックスを感じてしまいます。自分にはとてもできないな、と。
まあ成功者というのはほんの一握りで、その陰には、何十倍、何百倍もつまづき、失敗している人がいるのでしょうが…。