歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

現存する12天守を一気に見る〜姫路・兵庫県立歴史博物館〜

姫路城はやはり”頭抜けた”城。

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城の模型がズラリと並ぶスポット

江戸時代以前に造られた天守閣のうち、今でも残っているものを現存(げんそん)天守と言います。日本各地に全部で12あります。

それら現存天守を一気に見られる場所が、実は姫路城のすぐそばにあるのです。それが「兵庫県立歴史博物館」。

もちろん本物ではなく、50分の1の模型ではありますが。ただ一度に見られる、というのが自分にとって大きかった。「ああ、城を見るにはそこに注目すればいいのか!」というのがなんとなく分かりました。

ちなみに兵庫県立歴史博物館の場所はこちら。

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天守(の入り口)から歩いて10分ほど。駅からだと1回乗車100円の「城周辺観光ループバス」が便利です。

 

12の天守を比べてみよう!

訪れたのは土曜日の午前中でしたが、ほとんど他に人がいなかったので、動画も撮影してみました(撮影はOKなスポットです)

www.youtube.com

お城の観る際には、色々ポイントがあると思いますが、ここでは模型の説明に付してあった城の形式に注目してみたいと思います。

お城の形式には「独立式」「複合式」「連結式」「連立式」というのがあります。

図で示すとこちら。

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城の見方ガイド(3) 天守にも色々な縄張りがある - 裏辺研究所」

から引用させていただきました。 

ではいってみましょう!

 

丸岡城  犬山城

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丸岡城(左)〜現存最古の天守〜

福井県坂井市。秀吉の家来だった柴田勝家の甥っ子が、天正4(1576)に築いたとされる。一説には現存するもの天守で最古とも。

あまり知名度は高くないですが、現存最古だとすると、たいへんありがたいですね。

形式は「独立式」。要するに天守が一つということ。

犬山城(右)〜5つある国宝天守の一つ〜

愛知県犬山市。平成16年まで成瀬家(もともと尾張徳川家の家臣)という一私人が維持・管理していましたが、今は財団法人犬山城白帝文庫が所有しています。個人で城一個持つなんてタイヘンだったんでしょうね。

形式は「複合式」。天守に櫓(やぐら)がくっついているものをこう呼ぶそうです。

 

松本城 彦根城

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松本城(左)〜国宝・黒漆塗りが美しい〜

長野県松本市。こちらも国宝。松本城と言えば”黒”という印象があります。これは黒漆だそうです。

形式は「複合連結式」。先ほどの「城の見方ガイド」から引用させていただきます。

松本城天守のように天守と小天守が渡櫓でつながり、さらに天守の前に付櫓があるという、複合式と連結式の合体もあります。これはそのまま、複合連結式といいます。

彦根城(右)〜国宝・江戸幕府の重鎮・井伊家の城〜

滋賀県彦根市。国宝。徳川家康を支えた四天王の一人・井伊直政の子孫が建てた城。西国を押さえる要として建てられたので、他の大名もコスト負担する天下普請だったそうです。

形式は「複合式」。

 

姫路城〜国宝・日本の世界遺産第1号〜

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兵庫県姫路市。日本の”キング オブ 天守”と言ってもいい存在。

なぜか。

それがこの模型群を見ると一目瞭然なのです。姫路城だけパッと目を引くくらい大きい。

また姫路城くらい天守の周りに構造物が密集して建てられている城はありません。

「世界遺産 姫路城公式ガイドブック」から引用しておきます。

連立天守の美。姫路城天守は、和歌山城、伊予松山城と並び、いわゆる「連立天守方式」の代表例である。連立天守というのは、おおむね「ロ」の字型天守台の角に大天守、小天守、櫓を配し、それぞれを廊下で結んだ平面構造を指す。櫓が連なっているということから名づけられたのだが、姫路城の場合は、「ロ」の字型天守台が極めて狭いため、大天守、小天守が重なって見え、あたかも高層のツインビル、トリプルビルが林立しているような外観を呈している。このような立体的連立天守軍は姫路独特のものである。重層・ダイナミクスなスカイラインが形成され、圧倒的で、荘厳な美しさを見せているのである。

これを読んだとき、姫路城の美しさの秘密が分かったような気がしました。その秘密(姫路城の重層・ダイナミクスなスカイライン等)も他の城と比べてみると、さらに実感できますね。

 

松江城〜2015年 国宝指定〜

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島根県松江市。最も新しく国宝に指定された城です。

2018年12月にNHKで放送された「あなたも絶対行きたくなる!日本最強の城スペシャル第2弾」で、戦闘用の城としての機能が高く評価され、「日本最強の城」に選ばれました。

形式は「複合式」です。

 

丸亀城 高知城

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丸亀城(左)~ そそり立つ高石垣~

香川県丸亀市。丸亀城を実際に見たことがある人なら分かると思うんですが、圧倒されるほど高い石垣が立派な城。高さ60mあるとか。石垣といえば熊本城に指を屈する人が多いと思うんですが、丸亀城も必見です。

形式は独立式。天守の建物は一つです。

高知城(右)~雨の多い土地ならではの城~

高知県高知市。高知城は排水の施設がすごくちゃんとしていて、「さすが雨の多い土地の城!」と感心したことがありました。四国には現存天守が4つもあり、実は城好きには幸多きエリアです。

形式は独立式。

 

宇和島城~装飾が見事~

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愛媛県宇和島市。現存する天守は江戸初期(1666)に伊達宗利が建てたもの。もう当時はいくさが無くなっていた時代だけに、戦闘機能よりルックス重視の城です。

一層目に比翼千鳥破風、二層目に千鳥破風、三層目に唐破風と、階層ごとに違ったデザインが取り入れられています。

形式は独立式。

 

備中松山城〜山城で唯一天守を持つ〜

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岡山県高梁市。中世では城は”山”に作られていました。いわゆる「山城」です。

それが時代が下るにつれ、丘(平山城)や平地(平城)に造られるようになった、というのが城のざっくりとした建築史。この備中松山城は、もともと山城が造られていたところに近世になって天守が造られました。山城で天守を持つのは、唯一この備中松山城だけです。

形式は独立式。

 

弘前城~天守の”引っ越し中”~

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青森県弘前市。江戸初期に建てられた元々の天守が、ほどなくして落雷で焼失。江戸も後期になって本丸の辰巳櫓を改修して、天守としました。現在石垣の修理工事中で、天守は仮の天守台に”曳家”(引っ張っていて、場所を移す)で引っ越し中です。

形式は独立式。

 

松山城〜天守群に注目〜

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愛媛県松山市。松山城の見どころは天守群。天守、小天守、隅櫓、門が一体のものとして設計され、非常に高い防御力を有しています(模型ではその様子は分かりませんが)。

形式は連立式。

 

最後に

自分もそんな城オタクというわけではなかったのですが、一挙に12の天守を比べることができたため、城を見る勘所を押さえられたような気がします。

姫路城のついでにちょっと足を伸ばしてみては。 城への理解がグッと深まりますよ。

※ちなみにこの城の模型エリアは有料(500円)です。