歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

六本木で本に囲まれる”時間”〜文喫(ぶんきつ)・訪問記〜

どうせなら長時間過ごそう。

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入場料のある本屋さん

六本木にある”入場料のある本屋”さんって知っていますか。

その名も文喫。「ぶんきつ」と読みます。

書店なのに1500円+税というそれなりの入場料を取る代わりに、店内の本は読み放題で、無料の飲み物もつく、Wi-Fiも完備、というスポットです。

文喫 BUNKITSU | 本と出会うための本屋。

ツイッターで何度か話題になっているのを見て、一度、行きたいな〜と思っていましたが、遅めの冬休みを取れた平日(1月8日(火))に訪問することができました。

”時間を過ごす”という意味ではネットカフェ・漫画喫茶と似たような場所ですが、環境的としては、自分も含めた本好きが「おっ」と思いそうなタイトルの本に囲まれていて、なかなか居心地よかったです。知的な空気に浸れます。

 

場所は 六本木の交差点からすぐ

アクセス情報(公式HPからの転記)

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場所は六本木交差点からすぐです。つまりは地下鉄六本木駅からも至近。

以前、青山ブックセンター六本木店があったところです(と言っても、私自身は行ったことがなかったですが)。ただ、一緒に行った妻は、かつての青山ブックセンターの雰囲気をけっこうのこしているとのことでした。

 

入館証代わりのバッジをつけて踏み入る

お店に入ると、まず受付があります。そこで、入場料を支払い、バッジを受け取ります。

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バッジの後ろにはWi-Fiのパスワードが記してありました。Wi-Fiのスピードはなかなか快適で、普通の作業なら問題ないと感じました。

ちなみにこの受付のある空間までは、無料で入ることができます。

短時間なら外に出るのも可

一旦、入ってしまうと、原則、外には出られません。ただ15分程度の短い時間だったらOKとのこと。自分は、コンビニに行く時、外出を許可してもらいました。

書籍は3万点。この数は多いか少ないか

奥に入ると、書棚が(お店の用語では「選書室」という)。全部で3万冊の書籍が揃えてあるそうです。ただジュンク堂などのメガ書店を見慣れている昨今、本の数そのものはたいしたことはありません。

ただ、やはりセレクションがよく考えられているな、とは思いました。これについては後述します。

 

席を確保するのが生命線

読書したり、作業したりするスペースは、満席まで詰めれば7〜80人くらいは座れそう。

自分が訪問した火曜日17:00の段階では8割程度、埋まっていました。徐々に席は空いていき、21:00の段階では3〜4割程度の入りだったと思います。

ただツイッターを見ていると、入場制限がかかったりすることもあるそうなので、やはり訪れる日時・時間帯はよく考えた方が良さそうです。

 

ミーティングに使えるスペースがラッキーだった

お店の用語で「研究室」と呼ばれるガラス戸で仕切られたスペースがあります。大きな4人掛けのテーブルが2つあって「グループでも一人でも使ってください」とありました。

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その日はここに誰もいず、4時間余り、自分たち夫婦だけで使うことができました。これはラッキーでした。

ちょっとした打合せになら便利なスペースですが、一人1500円かかることを思うと、普通の喫茶店の方がいいかも。

 

コーヒー&グリーン・ティーは無料

これはたいへんありがたいです。コーヒーはホットorアイスを選ぶことができ、しかもけっこう美味しい。コーヒーに飽きたらお茶に移行できます。

また有料ですが、ハヤシライス、スパゲッティなどの軽食や、アルコール(ギネス、プレミアムモルツ等)もオーダーできます。ガッツリ作業したい時には助かりますね。

 

極私的 目に止まった本リスト

京都の「恵文社」に似ている

さて、気になる本のセレクションです。ジャンルとしては、食、哲学、文学、歴史、心理、ビジネス、科学、映画、音楽、自然…等々。と一般の書店を大差があるわけではありません。

でもやはりアート&デザイン系が充実しているようには思いました。

京都には有名な本のセレクトショップで「恵文社」というのがあるんですが、あんな感じのセレクションですね。

恵文社一乗寺店

 
それでは、書棚をぐるっと回ってみて、気になった本についてそれぞれ一言コメントを残して置こうと思います。どんな本が並べられているのかイメージを掴んでもらえれば幸いです(ジャンルも含めそこまで深く考えて選んではないです。あくまでパッと目に入ったものです、念のため)。 

ライフスタイル

雑品屋セイゴオ
雑品屋セイゴオ

雑品屋セイゴオ

 

帯には「五感で堪能するオブジェ雑品エッセイ」とありました。松岡正剛さんて書評だけでなく、ブツ(物)もレビューされていたんですね。多才だ…。

 

スポーツ

アナキスト サッカー マニュアル
アナキストサッカーマニュアル―スタジアムに歓声を、革命にサッカーを

アナキストサッカーマニュアル―スタジアムに歓声を、革命にサッカーを

 

サッカーをめぐる、国家、社会、カネ、大衆の物語。サッカーに関する新たな視点を獲得できそう。

 

国内旅行

日本ボロ宿紀行
日本ボロ宿紀行 (鉄人文庫)

日本ボロ宿紀行 (鉄人文庫)

 

帯には「ボロ宿」は褒め言葉です、と。扱われているのは湯治宿、商人宿、駅前旅館など。”ボロ”は古さ、歴史に通じます。宿は新しければ新しいホテルが好きな自分ですが(クラシックホテルは除く)、エンタメ(娯楽)として、「ボロ宿」に泊まるのはアリかも。

 

音楽

音楽(武満徹と小澤征爾の対談)
音楽 新潮文庫

音楽 新潮文庫

 

武満徹、小澤征爾。2人の巨匠が対談している本があったとは…。しかも文庫で。

昭和56年に新潮社から出版されたのが初出だそうです。
最近、クラシック音楽の仕事をしていて、いろんな書店の音楽棚は見ていますが、この文庫が置いてあるのは初めて見た。いいセレクションしています。
 

ファッション

洋服を着る近代 帝国の思惑と民族の選択
洋服を着る近代: 帝国の思惑と民族の選択 (サピエンティア)

洋服を着る近代: 帝国の思惑と民族の選択 (サピエンティア)

 

帯の文句にハッとさせられます。「なぜ世界中の男性は同じ服装になったのか」

西洋列強が世界中のローカルな文化を侵食し、押しつぶしていったのは、あらゆるジャンルに言えることでしょうが、衣服もそうだったんだよ、という話(だと思う)。
言われてみれば背広(スーツ)は物の見事に”世界標準”になっています。これには気づかなかったなあ。
 

最後に

文喫のパンフレットには「本と出会うための本屋」とあります。ここは確かにそんな空間。一つひとつの本との出会いを大切にするために、あえて本の点数も少なくしてるのかも。
でも入場料もそこそこするので、まとまった時間を取って、非日常性を味わいに行くのが一番いい使い方な気がしました。