日本ワインの歴史を知る。
- ”ワインの郷”のミュージアムに行ってみた!
- 日本ワインのパイオニアの写真がお出迎え
- 展示冒頭の白黒動画は必見!
- ワインの製造も木製の器具で
- パイオニアたちの留学は”背水の陣”
- 本格ワインの普及までおよそ100年かかった
- ワイン専門のぶどうの栽培も始まる
- お勉強は終了!ワインを飲むぞ
- 最後に
”ワインの郷”のミュージアムに行ってみた!
今年のクリスマス連休。一泊二日で、山梨の笛吹川温泉、勝沼のワイン郷などに訪れました。
日本最古のワイナリーと言われる「まるき葡萄酒」を見学し、ぶどう寺とも言われ、寺内でワインをいただける大善寺も参拝して、国産ワインにちょっとずつ詳しくなりました。
そんな小さな旅の最後に訪問したのは「シャトー・メルシャンワイン資料館」。日本を代表する国産ワインメーカーが運営するミュージアムです。
明治時代、ゼロから国産ワインを生み出すことに挑んだ先人たちの足跡から、日本のワイン造りの現状まで、国産ワインに関する知識がコンパクトに学べる非常に良い施設でした。
しかも無料!
どんな展示だったのか、レポートしたいと思います。
日本ワインのパイオニアの写真がお出迎え
館内に入ると、2人の青年が写った大きな白黒写真が迎えてくれます。
2人は高野正誠と土屋龍憲。日本初の民間ワイン醸造所である「大日本山梨葡萄酒会社」から、ワイン醸造を学ぶため、フランスに派遣された若者です。日本ワインのパイオニア中のパイオニアですね。
展示冒頭の白黒動画は必見!
さて、建物入ってすぐ右手には映像モニターがあります。明治以来の、国産ワインの製造から出荷、ぶどう畑の下でのパーティーまで貴重な映像を見ることができます。
博物館などの動画は、時々ジッと見ているのが面倒くさくて、飛ばしたくなることもありますが、ここのものは見ておいた方が良いです。
尺も7分ですし。
和服姿の職人や女性たちが、木製の圧搾機を回したり、桶でワインを運んだりと、自分にとっては想像もつかない、昔のワイン造りの雰囲気がよく伝わってきます。
この動画を見てから、あとに続く展示を見るのが、俄然、楽しみになりました。
ワインの製造も木製の器具で
日本におけるワイン黎明期の器具はことごとく木製でした。
こちらはぶどうを砕くための破砕機
こちらはぶどうを絞る圧搾機。
そして、こちらはワインの原液を発酵させる桶。「清水桶」と言うそうです。
パイオニアたちの留学は”背水の陣”
記事の冒頭で紹介した、明治期にワイン留学を敢行した高野と土屋。その二人が書いた誓約書が残されています。
1年間は会社が留学費用を持つが、期限を過ぎたら、滞在費用は自分たちで弁償する旨が約束させられているとのこと。なかなかに厳しい…。
これはフランスで勉強中の土屋が残した器具のイラスト。非常に精密です。
相当の覚悟で貪欲に知識・技術を吸収していった様子がうかがえます。
こちらは高野が著したワイン醸造に関する本。
こういう先人たちが、一歩一歩、日本のワイン造りの地固めをしていったうえに、今日の国産ワインがあるんですねえ。
本格ワインの普及までおよそ100年かかった
ヨーロッパのワインを目指して始まった日本のワイン造りですが、ずっと長い間、今、飲まれているような本格ワイン(甘くないワイン)はなかなか普及しなかったようです。
それよりも発酵途中の糖分をより多く残した「甘味ブドウ酒(甘味果実酒)」の方が日本では人気がありました。
それが1975年、ようやく本格ワインの消費量が、甘味ブドウ酒を逆転したんだとか。日本でワイン造りが始まってからおよそ100年かかっています。日本におけるワインの普及はまだまだ発展途上にあるのかもしれません。
ワイン専門のぶどうの栽培も始まる
メルシャンは1976年に長野・桔梗ヶ原で欧州系ブドウ品種の「メルロー」を栽培開始。勝沼で「カベルネ・ソーヴィニヨン」も栽培を始めました。
ワイン専用のぶどう品種の栽培は少しずつ拡大してきました。
人を育て、醸造技術も向上させ、ぶどうの品種も欧州のものに変えるなど、あらゆる方面での努力を続けることで、国産ワインの品質が向上して来たんですねえ。
そして今では、ワインの国際コンクールで賞を取るまでになりました。
まさに「何事も一日にして成らず」という感じがします。
お勉強は終了!ワインを飲むぞ
さて、資料館の真向かいにはテイスティングカフェがあって、試飲できるようになっています(有料)
こちらがメニュー表。
自分は「2018 日本ワインコンクール受賞セット」を注文しました。
新鶴シャルドネはキリリと辛く、穂坂マスカット・ベリーAはスッキリ。そして長野メルローはふくよか、とそれぞれに個性があって美味しかった。
頭にワインの知識がいっぱい詰まった後だったので、日本ワインの奥深さまで味わえた気がしました。
スタッフさんから驚きのサプライズも
自分たちが訪れたのは12月24日の16時ごろ。その日は今年の営業日の最後だったらしく、しかも時間は閉館間近。ということで今年最後の客でした。
そこでスタッフの方から特別に、ということで、一杯、無料サービスが!
なんでもメルシャンで造っているワインでも最高級の一品らしく、非常にしっかりしたコクのある味わいでめちゃ美味しかったです。これはラッキーでした。
この一杯で、一気にメルシャンのファンになってしまいました…。
最後に
ワインの歴史から現在の日本ワインの現状、そしてテイスティングまで、あらゆる角度からワインの内実に迫れる資料館でした。
ただし、閉館が16:30と早いので、ご注意ください(ただ、自分のように酒運にあずかれるときもあるかもしれませんが…)。