歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

日本最古のワイナリーをツアーする〜山梨県甲州市・まるき葡萄酒〜

国産ワインに親しくなる。

f:id:candyken:20181226173419j:plain

 

宿が実施しているワイナリーツアーに参加する

クリスマスの連休で宿泊した山梨県甲州市にある「笛吹川温泉 別邸 坐忘(ざぼう)」。

こちらは「まるき葡萄酒」という日本最古のワイナリーが運営する旅館です。そして、この旅館に泊まると、その「まるき葡萄酒」のワイナリーツアーに参加することができます。

今回、「坐忘」に泊まることにしたのも、このワイナリーツアーがあったから、というのも大きな理由でした(ワイナリーツアー以外の要素も素晴らしい宿でしたが)。

そのツアー。普段見ることのできないヴィンテージワイン貯蔵の様子や、ワインのテイスティングなども(もちろん)できて、とても良かった。あまり飲む機会のなかった国産ワインですが、一気に親近感も増しました。

どんな内容だったのか、レポートします。

※「まるき葡萄酒」のHPはこちら。ツアーについての案内もあります。

まるき葡萄酒 ワイナリー 甲州ワイン製造販売 山梨県甲州市勝沼町

 

ぶどう畑の間を縫って20分 車で走る

まるき葡萄酒は宿・坐忘から車で20分ほど。途中、日本でいちばんのワインの名産地である勝沼地区を通るわけですが、ほんとにぶどう畑ばかりで驚きました。ワイナリーも密集していて、徒歩で回ることもできます。

一度、この辺りのワイナリーをゆっくり回ってみたいものです。フランスやカリフォルニアのワイナリーにはさすがに、おいそれとは行けませんが、山梨だったら何とかなる気がする!

ちなみに山梨はワイナリー数日本一。全国280軒程度あるワイナリーのうち、80余りが山梨県内にあります。

 

日本最古のワイナリーに到着

まるき葡萄酒に到着しました。

f:id:candyken:20181226173734j:plain

オレンジ色の建物がとても目立っています。

もともとこちらのワイナリーは、1891(明治24)年、土屋龍憲という人が設立した「マルキ葡萄酒」を前身とします。この土屋さん、明治10年にワインの醸造技術取得のため、フランスに渡った2人の日本人の一人。まさに日本ワインの草分け中の草分けですね。現存する日本最古のワイナリーなんだそうです。

 

ワイン造りの工程に沿ってツアーする

15名くらいの参加があって、ツアーが始まりました。

ツアーは仕込み場から

こちらは仕込み場。

f:id:candyken:20181226184346j:plain

ぶどうを選ぶ選果台や、圧搾するプレス機などがあります。7月〜10月だと仕込みの様子を見られることもあるとか。

こちらはコルクの木。

f:id:candyken:20181226184423j:plain

日本の気候に合わないため、国内では非常に珍しいらしいです。

 

なぜか羊の姿が

なぜか熱心にエサを食む羊たちも。

f:id:candyken:20181226180136j:plain

羊にぶどう畑の下草を食べさせ、糞を肥料に利用するという、ヨーロッパで行われている方法を取り入れているそうです。

えさを食べている最中に揺れる羊のお尻が可愛かった(笑)。

 

醸造場

ぶどうを発酵させる醸造場に入ります。

f:id:candyken:20181226183917j:plain
こちらはホーロー製のタンク。日本酒の酒蔵にあるものと似てますね。

f:id:candyken:20181226183957j:plain

こちらはステンレス製のタンクです。

f:id:candyken:20181226184057j:plain
ステンレス製のタンクは温度をセンサーで自動感知し、適切な温度に保つことができるそうです。

 

樽貯蔵庫

こちらは木樽でワインを熟成させる貯蔵庫。

白ワインは半年ほど。赤ワインは1〜2年ほど樽の中で寝かせるそうです。それにより、樽の香り(木そのものの香りや、木を曲げるためにローストした際のスモーク香)がワインに移り、より複雑な味わいを増すとのこと。樽にもフランス産の樫のものと、アメリカ産の樫のものがあり、風味に違いをもたらします。

ワインの味を決める要素には、ほんといろんなものがありますね。

 

地下貯蔵庫

こちらは何十年も前のワインが”一升瓶”(山梨ではワインを一升瓶に詰めるのはふつううのことで保管されている貯蔵庫。その数、全部3万5000本。

f:id:candyken:20181226184148j:plain

f:id:candyken:20181226184249j:plain

実際に商品にする際は、澱を取り除くなど様々な処理を施す過程があり、一升瓶3本からワインボトル1本しかできないそう。

記念に自分の生まれ年のワインを求める人もあるとか。人への贈り物にも良いかもしれないです。

 

ツアーは”お待ちかね”の試飲で締める

ツアーの最後はテイスティング。これがあるのがお酒ツアーの良いところですね。

f:id:candyken:20181226183322j:plain
いくつものワインが少しずつ注がれ、次々に試していくことができます。

f:id:candyken:20181226183425j:plain

いくつかひとこと感想を。

「ベリーA」というぶどうを使った赤ワインはフレッシュ。これなら赤だけどあっさりした料理にも合いそう。

「リザーブド甲州」は何年も寝かせたワインを使った銘柄。年月を経たお酒ならではの特有の酸味が効いていて非常に個性がありました。妻は一番気に入っていました。

意外だったのが「巨峰にごり」。

これ、ジュース?というくらい甘いんですが(と言っても、しつこくない爽やかな

甘さ)、非常に美味しい。酒が苦手な人でも間違いなく大丈夫。逆に飲みすぎてしまう危険があるかもしれませんが。

「デラウェアにごり」は甘み、酸味、苦味があって、同じ甘い系統のワインでも少し大人な味がしました。

 

最後に

全部で1時間ほどのツアー。気軽に参加してみましたが、実際にワインにまつわるものを見ながら巡ると、非常に勉強になります。

こちらのワイナリーでは、宿からのツアー以外にも、醸造責任者が直に解説してくれるツアーや、ソムリエがチョイスしたおつまみとワインが楽しめるツアーなど、様々な企画を展開しているもよう。ワインの収穫の時期などにまた再来したいです。