歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

山梨・塩山駅周辺で2時間過ごす方法。

”ほうとう”と駅の直近観光。

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2018クリスマス連休は山梨の旅

ここ数年、クリスマスには妻と近場の宿を取って小旅行するのが、慣例になっています。京都に住んでた一昨年は奈良ホテル、東京に引っ越した昨年は横浜のホテルニューグランドに行きました。その土地の観光をすることもさることながら、その宿に滞在すること自体が愉しみになるような、そんな宿を選んでいます。

今年、妻と協議して決めた宿は山梨県甲州市にある「笛吹川温泉 別邸 坐忘(ざぼう)」。

別邸 坐忘(ざぼう)【公式】露天付離れとワインの温泉旅館|山梨県甲州市|旧 笛吹川温泉 坐忘

この宿はまるき酒造という日本最古とされるワイナリーも所有している会社が経営しており、旅館で、ここに泊まると無料のワイナリーツアーも付いてくるという、何ともソソる企画を打ち出しています。

「坐忘」の最寄駅はJR中央本線の塩山(えんざん)駅。

東京からの旅の途中で、塩山駅で下車し、宿からお迎えの車が来るまで、ランチも含め2時間滞在しました。その記録です。

 

特急かいじには展望スペースがある!

往路は新宿駅10:30発→塩山駅11:53着の特急かいじ103号で。

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「かいじ」は漢字で書くと「甲斐路」ですね。最初は「かいじ」の音だけ聞いてると、何のことか分からなかった…。

それにしても塩山駅に1時間23分で着くんですから、東京から山梨ってほんと近い。 

かいじの列車内には、展望スペースがありました。

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朝から酒飲む気はなかったんですが、そのスペースを見つけて、飲みながら車窓の景色を見たいな〜と思って、思わずハイボールを買ってしまった。

最近の列車はこういう工夫してるものが多くて、旅の道行き自体が楽しいものになりつつあります。

 

塩山駅に到着 観光案内所を発見!

塩山駅に到着。

ランチは情報誌るるぶでチェックしていた「甲州ほうとう 完熟屋」で取るつもりでした。

ただ、駅の中を歩いていると、観光案内所を発見。

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地元ならではの情報が得られるかも、と案内所のスタッフさんに「美味しいほうとう食べれられるお店、ありますか?」と聞いてみました。

すると、こちらから特定のお店を紹介することはできません、とツレない返事。まあ、公平な立場で観光案内しないといけないんでしょうから、しょうがない。でも「「甲州ほうとう 完熟屋」はほうとうの専門店なので、美味しいはずですよ」とお墨付き的なコメントをもらい、ちょっと安心。

では予定通り事を進行しようということで、駅を出てその「甲州ほうとう 完熟屋」を目指すこと。

南口を出ると、専門店ではないですが、ほうとうを食べさせてくれる店は駅前に幾つかありました。

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さほどこだわりがなかったり、時間がないけど、ほうとうが食べたい!みたいな事情があるならば、駅の直近のお店で済ませる、というのもアリでしょうね。

 

駅からほうとう専門店を目指す

さて、駅からその「完熟屋」を目指して歩きます。周囲を屏風のようにぐるりと山に囲まれ、"山の国"に来たんだなあ、という感慨が。

途中、こんなものもありました。

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トマトの自動販売機です。山梨ってトマトの名産地なんだろうか。

歩くこと7〜8分で、お目当てのお店に着きました。

 

ほうとうは美味い! "すりだち"によるアクセントもグッド!

キャパ大きいごはん屋さん

こちらがその「甲州ほうとう 完熟屋」。見た目、大きな民家です。

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駐車場も割とキャパがあって、都市の郊外でよく見るタイプの、家族連れや団体にも対応しているごはん処のようです。

お昼時は混む

中に入るとすぐテーブルに案内されました。時に12月23日(祝)のお昼12時過ぎでしたが、比較的空いてました。

しかし30分ほどすると満席に。地元ではかなりの人気店のようです。

席は掘りごたつ風になってます。

足先が温かくてありがたい。こういう小さな工夫がお客さんを集める工夫でしょうか。

野菜ほうとうを注文

オーダーは1280円の野菜ほうとうで。夜、美味しいディナーにありつける予定なので、昼は単品のみで。

「ほうとうを煮込むのにお時間いただきます」と言われ、待つこと10分弱。ほうとうが入った鍋が運ばれてきました。

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ほうとうって、味噌煮込みうどんじゃん、と言ってしまえばそれまでなんですが、名古屋の味噌煮込みうどんよりもあっさり&上品な気がします。ここのほうとうもたいへんけっこうなお味でした。

テーブルに備え付けのトッピングとして「すりだね 」という、ローカル食材があったのですが、これが良かった!

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唐辛子、胡麻、山椒などを油で炒めて作る調味料だそうですが、実にいい風味なんです。

最初はふつうにほうとうを食べ始めて、時折このすりだねでアクセントをつければ、味覚を倍、楽しめました。

 

駅の真ん前にある観光スポット! 旧高野家住宅

ほうとうを食べ終わって向かったのは、塩山駅の北口の目の前にある旧高野家住宅。

元々、この土地の庄屋さんだった豪農の住宅で、19世紀初頭(江戸後期)の建築。現在は重要文化財に指定されています。

駅から見てもその"豪壮さ"がよく分かりました。とにかく屋根がデカい!

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幕府の命により薬草を育てていた

この高野家。徳川将軍・吉宗の命により「甘草(かんぞう)」という薬草を育てていたのだとか。

これがその甘草。

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甘味料、調味料のほか、漢方薬にも用いられます。厚生労働省指定漢方処方210品目中150処方(71%)に含まれており、甘草がなければ、大半の漢方処方は成立しないんだとか。

こんな薬草が存在してること自体、知らなかった…。

お茶と干し柿の接待あり

入館料300円払ってメインの建物である主屋に入ります。

物腰柔らかな年配の女性が、甘草茶と干し柿で接待してくれました。

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座布団の下にはヒーターも仕込んであって、こんなところにもおもてなしの心を感じます。

 

養蚕は農家の重要な収入源だった

主屋の2階はかつて、養蚕のためのスペースでした。

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ここの養蚕に関する解説文がとても分かりやすかった。

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要点だけ引いておくと…

  • 養蚕を実施する季節は一年で複数回あった。
  • ハルゴ(春蚕)、ナツゴ(夏蚕)、アキゴ(秋蚕)、バンシュウサン(晩秋蚕)
  • 農家はハルゴ(春蚕)に一番力を入れた。芽吹いたばかりの桑の葉を食べたカイコが質の良い糸を吐いたから
  • ハルゴを実施するのは、麦刈りや田植えとも重なっている一年で一番忙しい時期だったが、その分良い収入源になった。
  • カイコはオボコとかオボコサンと呼ばれていた。食べ物を口まで運んでやり、排泄物もきちんと掃除するなど、何から何まで世話しないとカイコは生きていけなかった。赤ん坊に接するようにカイコに接していた。

子供心に、なぜ地図記号に桑畑ってあるんだろう、と疑問に思ったことがあったんですが、桑畑の存在って農家の人にとってとても大切だったからなんですね。合点がいきました。

※明治の開国期に「生糸がいかに大切だったか」についてはこちら。

www.rekishitantei.com

 

最後に

高野家住宅には他にも樋口一葉の資料館などもあったのですが(一葉の両親のふるさとが塩山だった)、今回は時間切れ訪問できず、でした。またの機会を待ちたいと思います。

「完熟屋」さんのほうとうも美味しいですし、また高野家住宅は駅から全く移動時間のかからないスポットなので、塩山駅に立ち寄る機会があればぜひ行ってみてください!