事実上、グループH最強とも呼び声高かったセネガル。そんな強敵相手に引き分け勝ち点1をもぎ取った日本。正直コロンビア戦の勝利以上に感動しました。2度追いついたところなど、こんな頼もしい日本代表見たことない!って感じです。なぜそんなサプライズをもたらせたのか。読んでみて非常に参考になった識者の分析をまとめてみました。
日本が自分たちのスタイルを貫いた
イビチャ・オシム(元日本代表監督)
何よりも良かったのは、セネガル相手にも日本が自分たちのスタイルを貫き通したことだった。長友、酒井宏の両サイドバックが高い位置をキープして、パスをつなぎながら積極的に攻撃を仕掛けた。乾の突破力や柴崎のパス、香川の展開力など、日本の良さが特に後半は存分に発揮された。
日本がパスをつなぐスタイルであることは、世界でもある程度は知られている。選手がテクニカルであることも同様だ。
だが、ワールドカップという舞台で、しかもセネガルを相手にして、ここまで攻撃的にそれを実践できるとは、誰も思ってはいなかったのではないだろうか。攻撃する勇気を持ち続けた西野監督と選手たちには心から敬意を表したい。
オシム氏がセネガル戦について言及 スタイルを貫き通した点に称賛 - ライブドアニュース
アウミール・レイチ(ブラジル紙記者)
序盤に失点。試合開始直後にPKをもらい相手が1人少なくなった初戦とは逆に、いきなり逆境に立たされた。
普通のチームなら動揺するところ。しかし、日本は落ちついてパスを回して主導権を握り、相手の規格外の運動能力には組織で対抗。ボールを奪い返すと、人数をかけ果敢に攻めた。「日本版トータルフットボール」とでも呼べそうな独自のスタイルだ。
「日本版トータルフットボールを」…ブラジル「オ・エスタード・デ・サンパウロ」レイチ記者 : スポーツ報知
日本がフィジカルで負けなかった
森岡隆三(サッカー解説者)
相手のフィジカル能力の高さを考えると、1対1の局面において、特に制空権は厳しいと思っていましたが、個の部分でも堂々と戦えていました。それはチャレン ジ&カバーが徹底されていたからこそだと思います。
【森岡隆三が見る】セネガル戦戦評、絶妙な攻守のバランスで連動していた日本代表 | Goal.com
林舞輝(ポルト大学大学院/ボアビスタU-22コーチ)
試合を通して、コロンビア戦に続き日本の個のクオリティが光った。強さと柔らかさと創意工夫でフィジカル勝負に勝った昌子と大迫(セネガルはまさか最前線でも最後尾でも空中戦で勝てないとは思ってもいなかっただろう)
フィジカルで劣る部分を他の要素で補うのではなく、フィジカルに対してフィジカルでまともに対抗するのがスタートラインでそこから他の要素で差をつけるという、過去の「自分たちのサッカー」以上に自分たちにふさわしいサッカーへの道筋も見つけた。
個で上回っていたセネガルの誤算。日本のビルドアップの高度な工夫 | footballista
イビチャ・オシム(元日本代表監督)
データを見ると、”デュエル”での勝利は日本がセネガルを上回っている。日本の選手が知能と工夫を駆使して競り勝つたびに、私は誇りのような喜びを感じ、思わず手を叩いていた。
※デュエルは「ルーズボールの競り合いだけでなく、1対1のボールの奪い合い、相手のボールを奪う、マイボールに相手が激しく来ても取られないフィジカルコンタクトの強さのこと」
オシムがセネガル戦を絶賛。「日本の強さはポーランドより上」(webスポルティーバ) - Yahoo!ニュース
森岡さん、林さんの批評はとても読ませます。時間の制限があるのは分かっているが、テレビでもこれくらい高度な分析を見たいところ。セネガル戦NHK・BS1のベテラン解説者のコメントはほんとつまらなかったな…。裏番組の日テレが思い切りバラエティーに寄せているんだから、NHKはサッカーファンにしっかり刺さる分析をして見せればいいのに(すいません、テレビ屋のグチです)。
柴崎の大いなる貢献
秋田豊(日刊スポーツ評論家)
チームは完全に柴崎中心に動いていた。中盤で柴崎がいい体勢でボールを持つと、ほとんどの選手がどんどん追い越して相手の背後を狙っていた。あの動きは得点の可能性も高まるが、リスクも大きい。パサーを信用しないとできない。パス能力の高い柴崎が存在感を出してきたことは、チームとしても大きい。決勝トーナメントへ、好材料だ。
パサー柴崎が完全に中心、決勝トーナメントへ好材料 - 熱血秋田塾 - サッカーコラム : 日刊スポーツ
林舞輝(ポルト大学大学院/ボアビスタU-22コーチ)
柴崎は、遠藤のようにゲームを作りながら中村憲剛のようにチャンスを作り出し、ゲームメイカーとチャンスメイカーを合わせた「ストーリーメイカー」だった。それでいて、守備面では圧倒的なポジショニングと予測能力でセカンドボールを回収して相手のチャンスの芽を潰す、「ストーリーブレイカー」でもあった。
個で上回っていたセネガルの誤算。日本のビルドアップの高度な工夫 | footballista
宇都宮徹壱(写真家/ノンフィクションライター)
いくつかの収穫(あるいは確認できたこと)があった。選手でいえば、まず柴崎。この日はゴールもアシストもなかったものの、彼が日本の攻撃のタクトを振っていたことは、誰もが認めるところであろう。とりわけ1点目のロングフィードについては、「佑都さんがいい飛び出しをしてくれたし、あっちのサイドバックがあんまりいい対応をしていなかったので」とサラリとコメント。気がつけば今の日本代表は、確実に「柴崎のチーム」となりつつある。
セネガルと真っ向勝負で渡り合った日本(宇都宮徹壱) - ロシアワールドカップ特集 - スポーツナビ
やはり自分はサッカー素人なので、柴崎よりも長友や乾の活躍に目がいってしまった(もちろんこの2人もすごかったのですが)。次戦以降、もっと柴崎に注目して見てみようと思います。
大迫の大いなる貢献
サッカーダイジェストweb
シセ監督が日本の選手で印象的な存在として挙げたのが、背番号15番の大迫勇也だった。
「サリフ・サネとカリドゥ・クリバリというCBがふたりがかりで、ストライカーの15番(大迫)を抑えきることができなかった。しかも、彼は常にディフェンスラインにプレッシャーをかけ続けていた」と絶賛。
実際に試合中の大迫は何度も動き出しを繰り返し、セネガルの最終ラインと駆け引きをしており、日本がオフサイドを取られるシーンも少なかった。ゴールこそなかったものの、攻撃の起点となることで、日本代表チームをけん引していた。その重要性を、シセ監督も認識していたというわけだ。
セネガル監督が大迫勇也を絶賛 「ふたりがかりでも抑え切れない」 - ライブドアニュース
宇都宮徹壱(写真家/ノンフィクションライター)
もう1つの収穫については、シセ監督の会見から見いだすことができる。守備の要であるクリバリのプレーが今ひとつだったことについて、敵将は「15番(大迫)が、われわれのディフェンスに大きなプレッシャーをかけていたから」と語っていた。アフリカのナショナルチームの監督から、日本の選手がこのような評価が得られたのは、ちょっと記憶にない。
セネガルと真っ向勝負で渡り合った日本(宇都宮徹壱) - ロシアワールドカップ特集 - スポーツナビ
相変わらずの決定力不足…
セルジオ越後(日刊スポーツ評論家)
勝って1次リーグ突破が決まればよかったけど、また決定力のなさという課題が出た。後半15分に大迫は柴崎のクロスを空振り。17-18年4得点というブンデスの彼に戻ってしまった。もともと大迫が半端なかったのは高校時代のことだろう? ここはワールドカップだ。
柴崎と乾だけ 大黒柱が不在/セルジオ越後 - セルジオ越後「ちゃんとサッカーしなさい」 - サッカーコラム : 日刊スポーツ
相変わらず辛口のセルジオさん。日本が負けたときはぬるいことばかり言うテレビの解説者がイヤになり、セルジオさんの記事を読んで溜飲を下げることが多いが、さすがにセネガル戦は褒めてもいいんじゃないか、という気も。「大迫 半端ないって」に言及するあたりは芸の細かさも感じるが。
最後に
日本が素晴らしい闘いをしたあとのレビューを読むのは楽しい。日本がまぐれでなく、確固たる実力でもって、必然で勝ち点1をもぎ取ったのがよく分かります。次戦も23:00開始なのでバッチリ見られる。楽しみにしたいと思います。
※一次リーグの日本の戦いに関する記事のまとめです。