たまにはゆっくり鉄道に揺られるのもいいものだ。
弘前の表示に旅情が…
お仕事で東京から秋田市に出張。そこからさらに秋田県北部の大館市まで仕事で出向くことになった。会社の規定でレンタカーは使えず、鉄道を使う。てっきり路線は奥羽本線で、本線というからには特急くらいあるだろうと思ったが、自分は行きたい時間帯には鈍行しか走っていない。
「しょうがない。のんびりゆっくりローカル線の旅しよう」
と思い、秋田駅に向かった。出発は朝7:28。大館着は9:11。2時間弱、秋田の田野をじっくり見てみることにする。
秋田駅に着いてみると既に車両は入線していた。弘前行きの案内表示が出ている。
弘前という地名を想うだけで、岩木山、弘前城、咲き誇る桜のイメージが湧いて旅情を誘われる。仕事じゃなかったら終点まで乗っていきたいところだ。
車両は全部で4両。特急ではないのでトイレがあるか不安だったが「2両目と4両目についています」とアナウンスあり。安心する(ちなみに洋式でした。これも安心。ま、ウォシュレットではなかったけど)
あれが秋田美人か?
先頭車両に乗車。座席の7割程度は高校生で埋まっている。こちらは勝手に旅気分だが、彼らにとっては今日(水曜日)は全き日常。旅情と生活感が混ざった不思議な気持ちになる。
高校生たちもひとりで乗っている子はイヤホンを耳にひたすらスマホの画面を凝視。グループで乗っている子はおしゃべりに夢中。この辺りの風景は都会も地方も同じだなあ。
車両の中に一人、目を引くほどの美人女子高生が。昨日、秋田市内で話した中年男性が「秋田の良いところは美人が多いところ。佐々木希クラスなら腐るほどいるよ」と言ってたのを思い出す。佐々木希クラスではないかもしれないが、色白でほんとに綺麗。これが秋田美人かと勝手に納得。
その女の子の近くに座っている男子高校生も綺麗な二重瞼で、眉毛もキリッとしたイケメン。東北は二重で顔の彫りが深い縄文系が多い、と聞いていたが確かにそんな気がする。
逆にそんな先入観を持っているから、そういう縄文系の顔ばかり目につくのかもしれないが。
地平線が見える?!八郎潟
そんな高校生たちが一気に降りたり、また新たな一群が乗ってきたり、を繰り返しているうちに電車は北上して八郎潟駅に。ここで生徒たちはゼロになってしまった。車両には自分含めて5人だけ。ローカル線の旅らしいちょっとした寂しさが漂ってきた。
さて八郎潟と言えば、有名な大規模干拓農地。車窓から見えるかな、思っていたら…見えた!
想像通り、正真正銘、真っ平らな土地。あれだけの土地を人が作ったのか…と感慨。秋田は米の産出額でトップ3に入る大米作地帯だが、この風景を観ると納得だ。
唐突だが、欧州のオランダも国土の20%は人が作った干拓地。「世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った」という有名な言葉もある。八郎潟はミニオランダかもしれない。
北上から東上へ
北上してきた奥羽本線は能代から東に向きを変える。その東行した最初の駅・東能代駅で目にした看板がこれ。
杉の香りが漂うまち…。杉が名産なのか?と思って車窓を見ていると、やっぱり登場、杉林。きれいに枝打ちされた細身の幹が並んでいる。分かりやすく自分たちのまちのウリをアピールしている東北の駅は面白い。杉の花粉症の人はイヤかもしれないが…。
北側には残雪が白く輝く山並みが。
おそらく秋田県と青森県の県境にある山々だろう。あそこを超えたら津軽。太宰治が生まれたところだ。また太宰のその名も「津軽」という小説は、津軽を旅するときは必ず読みたい佳作です。
東に向きを変えてもっと山がちな土地を行くのかと思いきや、意外と路線の左右に広い水田が広がる。米代川が作った大きな平野だ。ここでも米どころ秋田の水田の広さを思う。
大館、秋田犬の里へ
そろそろお尻痛くなってきたなあ、と思ったころにようやく大館駅に到着。大館と言えば、フィギュアスケートのザギトワ選手への贈り物で有名になった秋田犬の産地。…と思うとやっぱりありました秋田犬スポット。
ハチ公の神社がホームに鎮まっている。ハチ公はこの地では神様でした。
駅のすぐ真ん前にはこんな施設が。
「秋田犬 ふれあい処」では無料で秋田犬と触れ合えます。
こちらは秋田犬の女子・飛鳥ちゃん。おとなしくてかわいかった!スタッフのお姉さんがお菓子を使ってカメラ目線にしてくれました。
秋田市から2時間弱。その時間、特急が走っていないからしょうがなく選んだ普通電車でしたが、なかなか楽しめた。旅は早く着きゃいいってもんでもないな。ま、そのためには余裕のある時間が必要なんですが…。