東北人のクラス会で使われるお店らしい。
博物館の”知恵熱”を冷やす
上野の国立科学博物館で特別展「人体」を見て、たいへん興味深く面白かったんですが、アタマがたくさんの情報を詰め込まれすぎて熱を持ってしまった休日の宵。これは一杯呑んでアタマを冷やさねばなるまい、と考えました。
自分はふだん東京の西側(代々木)に住んでいる人間です。上野に来るとちょっとした旅行気分もあります。そうなればやっぱり上野らしいところで飲みたいということで、JRのガード下に足を向けました。
上野のガード下はいつ以来だろう。数年前に「もつ焼 大統領」(こちらも名店です)に来て以来な気がします。しかしこの日はあいにく店の外まで行列が出来ていました。雨の中、辛抱強く待つお客さん。名店は強いです。
上野のガード下で良さそうな店を発見!
あきらめてガード下に沿ってするするとさらに南へ歩くと、いかにもザ・居酒屋、という看板「たる松」を見つけました(冒頭の写真)。窓からのぞいてみると空きテーブルもあります。これ幸い!と飛び込んでみました。
その日は雨。濡れた傘をどうしようかと思っていると、年配の女性の方が傘袋を持ってサッと来て、傘が入れやすいように袋の口を開けて持ってくれました。こういう気づかいがあると店の第一印象はすごくいいです。この店にして良かった、と思います。
一品一品美味しいフード
さてメニューは…というとこのようなラインナップ。
看板と同様、正統派居酒屋な品々が並ぶ。どれも日本酒に合いそう。
生ビールで心を落ち着けて待っていると、運ばれて来た刺身三点盛。新鮮でいい歯ごたえです。
もつ煮込みはもつがたっぷり入っていてかなり満足感。
串かつは大阪でよく食べるタイプとは違って、相当肉厚でした。これはこれで食べ応えがあって美味しいです。
たる酒は香りで飲む
さて、お酒のメニュー。「たる酒」とあります。
屋号も「たる松」だし、これは飲まねば、と思い、男性の店員はんにおススメを聞いてみると「どれも美味しいですが、高清水(たかしみず)かな…」とおっしゃいます。じゃあそれをいただいてみましょう。
※ちなみに高清水は秋田市のお酒でした。
お酒は写真のように供されます。あら塩が小皿にサービスで付いてくる。モロに塩が出されるサービスは初めての体験です。酒だけ頼んでも一杯やれる、ということでしょうか。
チビっと高清水をすすってみると、プーンとますの木の香りが香っていい感じ。ます酒はちょっとしたアミューズメントですね。
店に歴史あり
フードも食べ終わり、最後の一杯をやりながらお店の方と話しました。
店の歴史は57年だそうです。上野という土地柄なのでしょうか、山形、秋田など東北の方々がここで毎年決まった日にクラス会など開く例が多いらしいです。一度来たらまた来たくなる、人に愛される店。そんな温かさがこの店には確かにありました。
「年々来られる方が減っちゃってね…。飲まれるお酒の量も減ってね」とも。確かにこういういかにも昔ながら、というお店はあまり若い人は来ないのかも。
でも「上野」×「ガード下」×「日本酒旨し」という居酒屋好きにはたまらない好条件が揃っているし、カウンターの中にはたるが飾ってあったり、酒燗器もあります。
雰囲気と人情は素晴らしいので、末永く繁盛して言っていってもらえるといいなあ。
※特別展「人体」の感想をこちらに書いています。