歴史探偵

趣味の歴史、地理ネタを中心にカルチャー全般、グルメについて書いています。

「なぜ売れないお笑い芸人が、歴史作家になれたのか?」・感想(2018年2月19日@B&B)

やはり自分の”思想”を広く知ってもらう方がいい時代なのかも。

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”思想”と言ってしまうとオオゲサだけど、自分の考えや”できること”などをきちんとブログなりにまとめておくことは必要だな、と改めて思った。それが表題のトークイベントを見ての感想。

 

イベント会場は下北沢のセレクト系書店のB&B。ここで開催されるイベントに肌が合うのか、参加するのは今年でもう3回目。例えば、こんな催しだ。

candyken.hatenablog.com

今回、登壇するのは房野史典(ぼうの・ふみのり)×長谷川ヨシテル さん。正直二人とも存じ上げない芸人だった。ただ、”芸人が歴史作家になる”という事態はどういうことなのか、そこを知りたくて参加することにした(ほら、作家になるってものすごくハードル高そうじゃないですか)。自分も歴史が好きなので、今すぐでなくても歴史に関することで何か仕事ができないかと思ってて、そのヒントがもらえないか、というのもあった。

 

房野さんはブロードキャスト!!というコンビのおひとりで、芸歴18年目とにかく明るい安村友近などが同期だとか。「超現代語訳 戦国時代」という、戦国時代を分かりやすく解説した本を出されてるらしい。

笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代

笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代

 

この本、テレビバラエティーでの紹介という追い風もあって、一時はAmazonランキングで一位もとったという。

 

長谷川さんは正確には”元”芸人。現在はものを書いたりテレビの構成作家・リサーチャーをされているという。現在までに2冊の書籍を出されている。

ポンコツ武将列伝

ポンコツ武将列伝

 

 

お二人とも本を出すことになるまでの経緯がとても面白い。

 

房野さんは、芸人を十数年やってくると、むちゃくちゃ売れてるわけではない芸人は何か新しいことを始めたくなるそうだ。それで、仲の良い構成作家さんやキングコングの西野さんのススメもあって、好きな歴史のことをfacebookに書いていたら、その内容が西野さんの絵本を出していた幻冬舎の編集者さんの目に止まり、本を出さないか、と言われたらしい。

 

これについては房野さんが西野さんと親しかったとか、その西野さんも本を出すタイプの芸人で編集者を知っていた、というラッキーな要素ももちろんあるけれど、房野さんfacebookに文章を書く、という行為をしなければこの展開は始まらないわけで、やはり”発信する”ことは大事だな、という結論に行きつく。

 

房野さんは本を出すまで長文の文章(ブログとか)すら書いたことがなかったらしく、ほんとに現代は、”考えてから行動する”より、”行動しつつ、その行動を発信しながら考える”時代なんだなと思う。”多動力”の堀江さんが言いそうなことだけど。

 

一方の長谷川さんは、房野さんよりは戦略的だったらしい。22から芸人として活動していたが(現在31歳)、2年経ったくらいから少しずつ歴史の仕事が入ってきていて、いつしか歴史の本の執筆や講演などで、食えるようになりたいと、当時から思っていた。それで歴史雑誌の編集長さんにツイッターで連絡したりして、web連載の仕事を始めていたという。

 

長谷川さんの話で感心したのが、歴史本の切り口のユニークさ。現在、本として出ているポンコツな武将”に関しての評伝とか、、”最弱の城”についてのweb連載とか、ご自身の専門的な歴史の知識に対して、テレビ的・バラエティー的感覚で味付けするのがとても上手い。まもなく「日本史の実行犯」という本も出されるらしいのだが、それは討ち取られた有名人(例えば真田幸村)について、ではなく、その有名人を討ち果たした”無名”の実行犯についての評伝だとか。そういう切り口もあるか、なるほどね…という感じがする。

 

それにしてもお二人とも、作家になるため”苦学力行”されたというよりは、自分の好きなことを、できる範囲で実行していたら、やがて本が出せたんだな、ということがよく分かった。ただ仕事として芸人をやっている(あるいは、やっていた)というのは有利に働いたかもしれない。芸人というのは人気商売の極致ということがあるので、自然、お客様を楽しませんる、というマーケット感覚は磨かれるだろうな、と思うから。

 

このマーケット感覚については、あの有名ブロガー・ちきりんさんも、よく言及されてます。思えば自分がブログを書こうと思ったのも、ちきりんさんのツイートがきっかけだった。

candyken.hatenablog.com

結論。自分もこのブログで、自分の関心事・行動について、もう少し発信を続けてみます。