考えに考え抜いた結果は必然的に”個性”になる
自分はそこまで女子サッカーに詳しいというわけではない。
でも、あるとき永里優季選手(30)のツイートが流れてきて「面白いことを言う人だなあ」と思って、以来、彼女の存在が気になっていた。
永里選手は元なでしこJAPAN。代表ではあの澤穂希選手に次ぐゴール数を誇る日本を代表するストライカー。現在はアメリカでプレーしている。
その永里選手のツイートだが、例えばこんな感じ。
基礎って本当に終わりがない。追究すればするほどどんどん地味になる。もはや側から見たら何やってんのかわかんないレベル。
— Yuki Nagasato/永里優季 (@Yuki_Ogimi) 2017年11月29日
「なるほど、それはそうかも…」という納得のひと言。アスリートじゃない自分みたいな人間にもしっかりと刺さる。自分の肉体で考え、自分の言葉で表現する人。元陸上選手の為末大さんもツイートでよく鋭いことをつぶやいているけれど、それに通じるものがある。
その永里選手が NHK「グッと!スポーツ」に出演されていた。番組の中で永里選手の練習方法が幾つか紹介されていたが、どれも驚くほど個性的でとても興味深かった。
幾つかあげてみると…
- ”コモドオオトカゲ”のように四つん這いになって、地を這う練習(写真参照)
上半身と下半身をつなぐ筋肉を鍛えることで、結果が足が速くなるそうだ。でも見た目がかなりヘンで、番組内でアンジャッシュの児島さんに「通報モノだよ」と言われてた。
- 買い物するときは、小指&薬指&中指の3本の指で買い物カゴを持つ
小指&薬指の2本の指が肩甲骨につながっているので、自然に肩周りのトレーニングになる。
- シャワーを浴びるとき肩甲骨を大きく回すように腕を使って頭を洗う
上下左右に大きく腕を回すことで、肩甲骨周りのトレーニングになる。永里選手は肩甲骨をかなり重視。肩甲骨は股関節ともつながっているので、サッカー選手にとって肩甲骨は意外と大事なのだという。
超個性的なトレーニングだったり、ふだんの生活の中でどうやって自分の能力を向上させるか、という永里選手なりの独自のメソッドだが、どれも「なぜその方法を取り入れるのか」という理由付けが明確で、 感心してしまう。
永里選手のトレーナーの方は「自分よりもヒトの身体について詳しい」と舌を巻いていらっしゃった。きちんと理論を学んだ上で、自分の身体で実際に試し、効果がありそうなものだけ取り入れていった結果、このような非常に個性的なメソッドになっていったのだろう。
日本の学校の部活動とか没個性的というか、皆で同じ練習をすること時間が大半だと思う。自分で考えるより「与えられた練習を、与えられた時間こなす」というような。チームで動きを合わせる全体練習ももちろん大切だとは思うけど、本来人間の身体はひとり一人違うはずなので、身体トレーニングなどもっと個性があっていいように思う。
自分で考えるより周りに合わせる…。みんな一緒が美徳なので全体練習が多い…。日本人特有のそういった事情があるような気がする。
それぞれが自分の個性を存分に活かす個人になり、それを監督が一つのベクトルにまとめることが出来たら強いチームになるんだろうな。
「石垣を作るように 人の個性を活かす」とサイボウズの青野さんも講演の中でおっしゃっていた。主体的な個人とそれを活かす経営者(監督)。強い会社(チーム)を作るにはこの組み合わせが最高なんだろうけど、なかなかお目にかかれることはないですね。もちろん自分の会社も含めて。
せめて、永里選手のように”トカゲのトレーニング”が自分に合ってると思ったら、周りから見てかなりヘンに見えたとしても、それを貫く強さを、個人としては持っていたいところ。
自分で考え抜く思考力と、周りに流されない心の強さをがほしい。